2023年9月02日配信
第264回「煙が目にしみる」の巻
1.喫煙の時代
2.霧にむせぶスタジアム
3.愛しのタバコ映画
4.かんたんレシピ「茄子と挽肉のチーズ焼」
1.喫煙の時代
先日のこと。思いがけずつまらない時代小説を立て続けに読んだので「なにか口直しに軽いラノベ・ミステリでも読みたいな」と、「積ん読の山」を探していたら「OL捜査網」(吉村達也 集英社文庫)というのを見つけた。
なにしろまるでテレビ時代劇「大江戸捜査網」の「ど」の字を「る」に変えただけの「思いつきタイトルからでっち上げた」とも思えるタイトルである。ちょうどいい。きっと期待通りの軽いコミカルなミステリに違いない、と思って読み始めたら冒頭の「モノローグ」につづいていきなり凄惨な「連続密室殺人ミステリ」が展開されてちょっと驚いてしまった。
物語に引き込むのがうまい。ついつい主人公のOLふたりに引っ張られて読みすすめたのだが、読んでいるとどうにも違和感がある。はて、なんだろう?と数ページを読み返して気がついた。それは登場人物がしきりにタバコを吸うことだったのだ。「これは……」と巻末の刊行情報を見てみるとはたして「本書は、一九九一年四月、書き下ろし文庫として刊行されました」とある。32年前の作品だ。
<以下本文につづく>
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)