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日本、「超高齢社会」克服 年功序列・終身雇用廃止が「企業再生に不可欠」

勝又壽良の経済時評
  • 2023/09/04
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鳴かず飛ばずの30年 企業理念を忘れた悲劇 私の会社意識と低賃金 時代遅れの「一家主義」 日本は、世界で最も高齢者(65歳以上)人口の多い國である。高齢者人口が全人口に占める比率が21%以上になると、「超高齢社会」と呼ばれる。日本は、2007年にこの段階へ達した。韓国と中国は、「高齢社会」(高齢者人口比率14%以上)の段階である。この二国も、いずれ「超高齢社会」入りする。その時、潜在成長率はどこまで低下するか。見物であろう。 日本は、超高齢社会へ入りながら次世代技術に果敢に取組んでいる。この姿は、定年退職者が現場で若者に交じって元気に働く構図でもある。ただ、体力(潜在成長率)の衰えはいかんともし難い以上、知恵(研究開発力)を働かすことだ。こういう頭の切り替えが、制度改革として成功すれば、日本経済に再び成長チャンスが到来するだろう。それができず、旧套墨守で宙ぶらりんであれば、ただの夢に終わる。繰り返して言えば、自己革新能力が問われているのだ。米国は、これが100%ある国である。 鳴かず飛ばずの30年 ここで、戦後日本の経済発展とその挫折の歴史を簡単に振り返ることで、なぜ日本が30年間も「鳴かず飛ばず」の時代を余儀なくされたのか、その理由を明らかにしたい。 日本は、バブル経済破綻の1990年と旧ソ連が崩壊した1991年が、偶然にも重なっていることに注目すべきであろう。この日ソ両国に起った現象で共通因子はないが、ソ連崩壊は世界経済の流れを大きく変えた。グローバル経済の幕開けである。保護主義から世界的自由競争時代へ切り替わったのだ。この先頭に立ったのが米国である。 日本の戦後高度成長は、米ソ対立という冷戦時代を背景にしており、保護主義下での経済成長であった。日本は、この保護主義の流れと日本的経営が見事にマッチして、無資源国でありながらGDP世界2位へと上り詰めることができた。日本的経営とは、日本の社会組織である「共同社会」(ゲマインシャフト)がフルに寄与したものだ。終身雇用制と年功序列制は、まさに「共同社会」が生み出した制度である。 「共同社会」は、地縁・人縁という人間のつながりが基本になる。ここでは、終身雇用と年功序列によって「企業一家主義」が生まれる。社内では、一致協力して長時間残業も厭わず働く。それが美風とされてきたのである。こういう「共同社会」を基盤にして、日本企業は保護主義によって守られてきた。海外大企業の日本進出は、政府による高い壁で阻止されたのだ。戦後の日本企業は、またとない好条件下で「温室経営」を続けて急成長を実現した。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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