【無・待望】
「みっちゃん、甲府駅前のパチンコ屋まで送ってくれないか?」
「いいよ」
みつおは車でサトシをパチンコ屋まで送っていったついでに自分もパチンコをしていた。
結婚資金を貯める必要がなくなったみつおは、人生が終わった感じなのでどうでもよくなっていた。
ある日、貰った給料を全部握りしめてパチンコ屋へと向かった。
どうせ人生終わってるんだから、全て終わらせてやろうと思っていた。
給料を全部パチンコに注ぎ込んでやろうとヤケクソになっていたのだ。
ところが…
そんな時に限って、1,000円でフィーバーしてしまい、全部使うどころか倍になって戻ってきたのだった。
逆にムカついたみつおは、次の日曜日にも朝からパチンコ屋へと行き、今日こそはすっからかんになろうと思うのだが、その日もボロ勝ちをしてしまい、お金は増える一方だった。
みつおは儲かったお金で原チャリを買い、寮にオーディオを買い、欲しい物全てを手に入れた。そして、最終的に中古の車まで手に入れたのだった。
不思議なものである。
今まで儲かった事のなかったパチンコでこんかにもボロ儲けするとは思ってもいなかった。
しかし、どんなに物欲を満たしても心は満たされなかった。
常に虚しい心と共に、その場しのぎの物欲の対象となる物をさがしてまわっている状態だった。
パチンコでどんなに儲かっても、その金を使わないと満足できないのである。
みつおは、この不思議な現象を本に書こうとおもった。書く事で心が紛らわす事ができると思ったのだ。
その時に書いた本のタイトルが
「無・待望」
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