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拉致問題「情報収集および分析」予算の怪(下)/有田芳生の「酔醒漫録」第36号

有田芳生の「酔醒漫録」
▼ 第36号 2023/9/8 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 有田芳生の「酔醒漫録」 *毎週金曜日発行* ━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆目次 1・「評言独語」──拉致問題「情報収集および分析」予算の怪(下) 2・「酔醒漫録」──9月1日〜9月7日 (山口敬之氏に逆転全面勝訴、統一教会に解散命令請求へ、那覇市で映画『シモーヌ』など) ★発売中の有田芳生著書★ ・『改訂新版 統一教会とは何か』(大月書店 2022/9/21発売) http://www.otsukishoten.co.jp/book/b610995.html ・『北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実』(集英社新書 2022/6/17発売) https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-721217-4 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1・「評言独語」──拉致問題「情報収集および分析」予算の怪(下) ━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼ここに2冊の本がある。1冊は『 横田めぐみは生きている』(講談社MOOK、2003年) 。ストレートなタイトルで、内容は元工作員の安明進と横田滋さん、早紀江さんの対談などで構成されている。そこで安氏は、横田めぐみさんが金正日一族の日本語教師として生きていると語っていた。そしてこう続ける。〈北朝鮮では、ロイヤルファミリーの内部を知っている人間を外に出すわけにはいきません。かといって、息子たちが親しくしているめぐみさんを殺すことはできないはずです〉。この発言について編集者は、滋さん、早紀江さんの反応について「二人とも呆然とした表情で聞きいっている」と説明している。もう1冊は西岡力 『横田めぐみさんたちを取り戻すのは今しかない』(PHP研究所、2015年) 。帯原稿にはこうある。〈めぐみさんたちの確実な生存情報を我々は持っている〉。その「情報の一部」にはこう書いてある。〈1993年3月、党が正式に(有田注、金英男氏と)離婚させる〉〈1994年9月、対日工作員、金ソングクと再婚〉〈1996年11月に男子を出産〉〈2001年、龍城区域七宝塚山招待所で生活〉。 ▼こうした情報を元工作員に聞き、あるいは脱北者などから入手することは、政府にとっても重大な仕事だった。事実であれば大変なことだ。横田滋さん、早紀江さんにとっても、心をざわめかせる情報だっただろう。しかし安明進(念のために言っておけば偽名)証言は事実ではない。

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  • 有田芳生の「酔醒漫録」
  • 2000年からブログに日記を書いてきました。思いは「私家版現代史の記録」です。「日記は書いておかないと不安なんだよ。忘れてしまうと消えてしまうから、自分が生きていて、あのころはどうだったというのを忘れるのが不安なんだよ」(渡辺京二『幻のえにし』)。同感です。私が綴るのは、メディアを中心に仕事をする一個人の眼から見た世界と日本です。「酔醒」は、酔ったり醒めたりという意味で、中国の「梁書」に記述されています。「漫録」は随筆の意味です。人生は、酒を飲まずとも「酔ったり醒めたり」の繰り返し。同時代に生きる皆さんにリアルな情報を提供、共有し、しなやかで強靭な精神をお互いに涵養していきたく思います。
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