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「世界経済・市場花だより」第637号 主要国の株価の脆弱さが表れた、日本株は前半短期筋が買い、ただし個別底上げも/米経済指標は逆風か

馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」
******************************* 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」  ******************************* 第637号(2023/9/10) 主要国の株価の脆弱さが表れた、日本株は前半短期筋が買い、ただし個別底上げも/米経済指標は逆風か この週刊「世界経済・市場花だより」は、めまぐるしく変化する世界の経済や市場の動きなどについて、ブーケ・ド・フルーレット馬渕治好が、わかりやすく解説します。 ※ 自主開催セミナーの予定です(カッコ内は、現時点でのお申し込み数/定員、です)。残席は、10を下回った場合に表記します。 9/16(土)札幌(8/25) 9/23(土、祝)葛西(8/20) 9/30(土)高岡(5/25) 10/7(土)名古屋(6/25) 10/14(土)福岡(3/20) 10/21(土)浅草(17/20)(残席:3) 10/28(土)大阪(5/18) セミナーのスケジュールは、 http://bd-fleurettes.eco.coocan.jp/sub3.html のページの下の方にあります。詳細やお申し込みは、それぞれのリンク先をご覧ください。 ☆過ぎし花~先週(9/4~9/8)の世界経済・市場を振り返って <想定外の悪材料表れたが、それが深刻なものだというわけではなく、主要国の株価の脆弱さ(過度の楽観)を示しただけ、日本株は週前半に短期筋が買い上げ、ただし個別にはしっかりとした物色による株価底上げが進んだ> (まとめ) 先週は、サウジアラビアの原油減産延長による原油価格の上振れや、中国政府が課した海外企業(主にアップル)の携帯電話の使用制限など、想定されていなかった悪材料が表れて、米国株価が調整しました。この株価調整は、そうした悪材料が特に深刻であったからではなく、主要国の株価が余りにも楽観過ぎて、背伸びした状況にあったため、その背伸びの脆弱さが露呈したためだ、と解釈します。 そうしたなか、日本の株価指数については、(筆者は裏取りはできていませんが)短期筋の投機的買いにより、週前半に持ち上げられたとされています(その反動が週末にかけて表れたと解釈できます)。ただ、個別物色をみると、国内機関投資家とみられる、幅広い底上げ的な買いが観察されます。 (詳細) 先週は、米国の主要な株価指数が週を通じては下落したなど、米国株中心に調整色が表れました。そうした株価下落の要因として、次の2つの想定外の材料が指摘されています。 1つは、サウジアラビアは、ОPECプラス(OPEC(石油輸出国機構)加盟国に非加盟国を加えた協議体)が打ち出した原油の協調減産とは別に、7月以降9月まで、自主的な減産(日量100万バレル)を表明してきました。この自主減産を10月まで延長するとの観測は既に唱えられていましたが、9/5(火)にサウジアラビアは、12月までの延長を決定しました。 これが、「景気が悪く原油需要が減退しても、原油供給の絞り込みで価格が上がってしまう」との懸念を広げました。実際のWTI原油先物価格は、既に先々週末(9/1、金)に1バレル85.55ドルと上昇気味で推移していましたが、9/6(水)にはザラ場高値で88.08ドルに上値を伸ばし、先週末(9/8、金)は87.23ドルと高水準で引けています。 物価上昇観測から米10年国債利回りは上昇気味の推移となり、9/7(木)は一時4.32%に達しました(週末は4.27%とやや落ち着いてはいますが、高めです)。 もう1つの想定外の材料は、9/6(水)に、ウォールストリートジャーナル電子版が、中国政府が中央政府職員に対し、海外企業の携帯電話の職場持ち込みを禁止する、と報じたことです。この「海外企業の携帯電話」というのは、たとえばアップル製品について、中国国内で生産していても、米国企業の携帯電話だから持ち込んで(使用して)はだめ、という意味合いだと解釈されます。 さらにブルームバーグニュースでは、使用制約の対象が、中央政府以外(たとえば国有企業)に広がったり、職場以外でも利用が禁じられたりする可能性が生じる、と報じられました。9/8(金)付の日本経済新聞電子版では、既に8月から、じわじわと海外企業の携帯電話の利用制限が、地方政府や国有企業に広がりつつある、とされています。 こうした諸報道を受けて、米国市場では一時アップルの株価が下振れし、他国市場も含め、「アップル関連」とされる企業の株価についても下落材料となりました。 こうした2つの材料は、確かにタイミングも含め想定外だったとは言えますが、起こって不思議はない話だとも解釈できますし、これら2つの材料がとてつもない悪い要因で、岩盤にしっかりと支えられた株価がガラガラと崩れていくようなものでもない、と考えます。 では、なぜ米国株価などに波乱が生じたかと言えば、株式市場では、まったく悪いことなど起こりそうもないかのような過度の楽観により、実体経済・金融の状況から上に浮き上がった脆弱な株価水準にあったため、ちょっとした想定外の(それでいて大した悪材料でもない)要因が表れると、空中から地面に向けて株価が下落する、ということなのだと判断します。 一方、日本株については、週前半は海外株価の状況に対し逆行高となりました。既に先々週も楽観に過ぎた株価上昇基調が生じていましたが、その余勢を駆る形で、たとえば日経平均株価はザラ場高値ベースでは、9/7(木)に33322.45円に達しました。

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