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第230号 すがっち500と愉快な仲間たち/父さんの影響、母さんの影響(後編)/新豆腐(番外編)/心の貯金

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  • 2023/09/13
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「すがっち500と愉快な仲間たち」 栃木県にある刑務所「喜連川(きつれがわ)社会復帰促進センター」に服役中の元自民党の元衆議院議員で元法務大臣の河井克行氏は、来年の刑期満了に向けて、所内の「図書計算工場」で真面目に働いていると伝えられています。しかし、ここはその名称からも分かるように、一般的な刑務所とはずいぶん待遇が違っていて、収賄罪で実刑となった鈴木宗男氏が収監されていたことからも分かるように、「VIP専用刑務所」と呼ばれています。 その上、河井氏が担当している「図書計算工場」というのは、刑務所の数々の仕事の中で最もラクチンなもので、受刑者たちの憧れの仕事なのです。冷暖房の効いた室内で、受刑者に貸し出す書物の整理をしたり、PCに向かって各工場で働く受刑者らの勤務日報を打ち込むというもの。木工や金属溶接など肉体労働が中心の刑務所で、この「図書計算工場」は最も狭き門、数百人の受刑者のうち数人しか就くことができないと言われています。 つまり河合氏は、「VIP専用刑務所」の中で「VIP待遇」を受けているというわけで、「法の維持と秩序を司る元法務大臣が法に違反して実刑判決を受けて刑務所に服役する」という前代未聞の不祥事の処罰としては、あまりにも温(ぬる)いような気がします。それにしても、安倍晋三元首相が「適材適所の人選だ」と胸を張って任命した法務大臣が、わずか1カ月で辞任に追い込まれた挙句、実刑判決を受けて服役って‥‥などと呆れていたら、9月7日、中国新聞がスクープを飛ばしました。 河井克行氏が服役することになった原因である2019年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、検察当局が2020年1月に河井氏の自宅を家宅捜索した際に、当時の安倍晋三首相をはじめ安倍政権の幹部4人から現金計6700万円を受け取った疑いを示すメモを発見、押収していたことが分かったというのです。 そのメモはA4判で、上部に「第3 7500万円」「第7 7500万円」と手書きされ、その下に入金された時期が書き込まれていたそうです。これは「安倍自民党から河合杏里側に計1億5000万円が2回に分けて振り込まれた」という事実と合致しています。しかし、今回問題になっているのは、その下に書かれた「+(プラス)現金6700」という手書きの部分なのです。ここには、その内わけとして、次のように手書きされていました。 「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」 「総理」とは安倍晋三氏、「幹事長」とは二階俊博氏、「甘利」とは甘利明氏のことだと分かりますが、「すがっち500」とは何なのでしょうか? 「フィアット500」ならルパン三世の愛車だし、「モンゴル800」なら沖縄のバンドだし、「LOVE2000」ならhitomiだし‥‥って、こういうお約束も織り込みつつ、「すがっち500」とは、当然、「菅義偉官房長官から500万円」という意味ですよね。 で、安倍氏は故人なので聞くことができませんが、中国新聞は残りの3人に取材しました。その結果、菅義偉氏は「そんなことあるわけがない」と現金提供を否定した上で、「すがっちと呼ばれていたのか?」との問いには「知らない」と答えました。二階俊博氏に至っては、「そんなことあるわけない」と菅氏と同じセリフで現金提供を否定しただけでなく、こともあろうに「案里っていったい何者なのよ?」と聞き返す始末。 二階氏は、もう83歳というご高齢なので、記憶力の方がアレなのは仕方ないかもしれませんが、自分が広島まで応援に駆け付けた相手の名前も覚えていないなんて、もしかして「ボケ老人のフリ」をして逃げ切る作戦ですか?‥‥なんてソフトなツッコミも入れつつ、結局、現金提供を認めたのは甘利明氏だけ。甘利氏は「陣中見舞いとして100万円を届けた」と認めました。100万円なら陣中見舞いで通りますが、サスガに500万円だの3300万円だのとなると、陣中見舞いという説明は通らなくなりますよね。 ま、それはそれとして、誰もが気になる「すがっち」の謎について、今回は書いてみたいと思います。まず、菅義偉氏が首相に就任した時の看板政策と言えば、デジタル化の推進と縦割行政の打破であり、そのために初の官民一体組織「デジタル庁」を新設しました。そして、顔つきも部下への恫喝も暴力団員のような自民党の平井卓也氏をデジタル大臣に任命しました。 で、その平井卓也氏と言えば、広報戦略が専門の元電通マンで、自民党ネットメディア局長をつとめていた2013年には、携帯電話アプリゲーム「あべぴょん」を開発しました。当時の安倍晋三首相を限界まで「爽やか」にデフォルメしたキャラが、雲や板を踏み台にしてひたすら上空を目指し、到達した高度によって称号が与えられ、得点に応じてバラの花が獲得でき、集めたバラの数によって「あべぴょん」のコスチュームを変更できるという頭の悪そうなゲームです。 この「あべぴょん」というネーミングは、「安倍首相がピョンピョン跳ねる」という意味も踏まえつつ、「首相に可愛らしいニックネームをつけて、JKたちに『あべぴょんてカワイイ♪』と言わせる」という電通仕込みの広報の一環でした。「普段は市民と距離があるように感じられている首相や大臣に、砕けたニックネームをつけることによって、若い世代に親近感を植え付ける」という平井卓也氏の発案です。 そして、この作戦をそのまま流用したのが、菅義偉氏でした。菅氏は2020年9月の自民党総裁選の討論会で、「私のガースーというニックネームは公認です」と述べたのです。その後、首相に就任した菅氏が新内閣を発表すると、デジタル大臣に就任した平井卓也氏は、「新設されるデジタル庁のスローガンは『Government as a Start up』、イニシャルを取ると『GaaSu(ガースー)』になります」と述べて笑いを誘いました。サスガは元電通マンですね。こういうところにもソツがありません。 その一方で、菅氏本人は、首相就任後の2020年12月に出演したニコニコ動画の生放送で、「皆さん、こんにちは。ガースーです」と挨拶しました。しかし、新型コロナの感染拡大が収まらない中で「Go To トラベル」を強行した政策が批判を浴びていた最中(さなか)だったため、「不謹慎にもホドがある!」と全国から集中砲火を食らってしまいました。 そんな「ガースー」こと菅義偉氏と河井克行氏の蜜月ぶりは、今でも読むことができる河井克行オフィシャルブログ「あらいぐまのつぶやき」の過去ログをたどれば一目瞭然です。何しろ毎月の投稿のほぼすべてに「菅義偉官房長官」が登場しているのですから。そして、ここまで蜜月なら、個人的な電話などのやり取りでは、「すがっち」「かっちゃん」などと呼び合っていたことも容易に想像できます。

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