メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

「集団トラウマ」襲う中国、崩壊した経済モデル 「日本」以上の深刻度

勝又壽良の経済時評
  • 2023/09/14
    • シェアする
米国は中国の弱み握る 地政学的リスクが負担 生産人口5年で2%減 EVで救えない重症度 最近、中国経済を図る尺度として「日本化」なる言葉が、世界中で使われるようになっている。「日本化」とは、1990年に始まった日本の不動産バブル崩壊である。中国経済は、この日本の辿った同じ道を歩むであろうという観測が登場した。 年金基金など世界の長期投資機関は、超長期投資が基本である。対中国投資を継続すべきか撤収すべきかに当たり、この「日本化」なる尺度で中国経済の発展過程について検証している。結論は、日本以上に厳しいコースを歩むであろうと分析している。冷酷な言い方だが、中国の経済発展期はすでに終わったとしている。詳しくは、後半で取り上げる。 この象徴的な事例を一つあげれば、2009年のG20(主要20カ国・地域)サミットで、中国は4兆元(現在価値で80兆円)のインフラ投資計画を発表した。08年のリーマンショックで大揺れの世界経済のストッパー役を果たしたのである。あれから14年経った今年のG20サミットは、中国の国家主席・習近平氏が欠席し、代役に李強首相を出席させざるを得なかった。習氏が、胸を張って中国経済立て直し策を発表できる局面でなかったのだ。 中国国家主席は、2009年に「主役」となった。今年は「欠席」という余りにも劇的な凋落に驚くほかなく、世界はこの激変ぶりを「日本化」転落という言葉で解釈しようとしている。中国経済が、こういう事態へ陥った理由について、いまさら詳説するまでもない。常識論になっている。「土地本位制」(学術用語でない)によって地価を煽り、地方政府の財源にする便法を採用したことだ。世界で例のないことを始めたのである。 英国が中央銀行(イングランド銀行)を設立(1694年)する際に、何を担保にして通貨を発行するか議論した経緯がある。その過程で、土地を担保にする案が検討された。だが、地価は変動しやすく通貨発行の裏付けにならないとし、民間の振り出す商業手形の再割引という現行方式に落ち着いた。 中国は、イングランド銀行不採用の土地担保制を、現代風にアレンジして地方政府の財源に組み入れたのである。この矛盾こそ、中国経済を根本的に狂わせたと言えよう。習氏は、この間違った手法を極限まで利用して財源をつくり、インフラ投資と軍備拡張に振り向けたのだ。習氏の国家主席3期実現には、この「土地本位制」が強力な推進役となった。問題は、この推進ロケットが墜落したことである。 米国は中国の弱み握る

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
  • 880円 / 月(税込)
  • 毎週 木曜日(年末年始を除く)