■内臓脂肪を落とすと血管年齢も見た目も若返る
血管の大切さを再確認するべきだ。人間の血管の壁は、本来しなや
かで、内面(内膜)はなめらかだ。その内腔を血液がサラサラと流
れる仕組みになっている。
ところが、加齢とともに動脈硬化が進むとしなやかさは失われる。
内面には「プラーク」と呼ばれる瘤が生じる。こうして血管は加齢
とともに生理的に老化していくのだ。
生活習慣病や喫煙、不眠等のストレスで、老化のスピードはさらに
早まる。よく「血管年齢」と言うが、これは「血管が何歳相当に硬
くなったか」を表す指標だ。「動脈硬化度」を表している。
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血管年齢は、指先や手足に取り付けたセンサーを用いして測定す
る。拍動する脈の形や、その波が血管壁を伝わる速さを分析するこ
とで推定される。健康なら実年齢とほぼ一致する。
ところが、動脈硬化が加齢に伴う生理的範囲を超えて進行すると、
実年齢が20~30歳でも、50~60歳に老化してしまうことがあ
る。すると、細胞への血液循環が悪くなる。
皮膚への血流の悪さが外見上の老いた印象の一因になる。逆に、血
管年齢を若く保てれば、見た目の若返りとともに、全身の臓器の機
能も良好に維持できる。
また、血管の硬さ(血管年齢)は、自律神経(交感神経・副交感神
経)の影響を受ける。緊張や睡眠不足、ストレスなどにさらされる
と、交感神経が優位に働いて血管が収縮して血圧が上昇する。
この時、血管壁は硬くなるため「血管年齢が老化している」と推定
される。また、末梢の血管が収縮すれば毛細血管の血流は減少す
る。これも血管年齢の老化と末梢の血流を悪化させる要因になる。
以前は、老化した血管を蘇らせることは不可能だと考えられてい
た。だが、今では何歳からでも、血管年齢を若返らせることは可能
だとわかっている。
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内臓脂肪の蓄積でメタボが進む。見た目の若返りのためには、まず
「ぽっこりお腹」解消だ。ダイエットをすることで「内臓脂肪」を
落とすのだ。
肥満は、脂肪のつき方で2つのタイプに分けられる。皮下脂肪が多
いタイプが「皮下脂肪型肥満」で、内臓脂肪の多いタイプが「内臓
脂肪型肥満」だ。
自分が内臓脂肪型肥満かどうかは、おへその周りを水平に測った
時、男性なら85センチ以上、女性は90センチ以上が目安だ。特
定健診などでは「腹囲」の項目がこれにあたる。
さらに「脂質」「血圧」「血糖」の3つの項目のうち2つ以上が基
準値から外れると「メタボリックシンドローム(メタボ)」と診断
されることになる。
メタボリックシンドロームは厳密には病気ではない。だが「動脈硬
化」のリスクを高める。内臓脂肪の蓄積は、見た目の老化だけでな
く、体にとっても危険信号で、メタボの土台になるのだ。
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内臓脂肪の増加は、脂肪細胞から分泌される生理活性物質の分泌調
整機能に異常をきたす。その結果、高血糖状態を作りやすくしてし
まう。これが、血管にダメージを与えるのだ。
加えて、内臓脂肪そのものががんの発症リスクを高めるとの指摘も
出てきた。内臓脂肪から放出される様々な炎症物質が、がんの発生
や進行に影響していると考えられる。
このように内臓脂肪は、見た目年齢を老けさせ、血圧や血糖値を上
げて血管にダメージを与え血管年齢を高め、インスリンの効きを悪
くし全身を老化させる悪玉物質を分泌、病気のリスクを高める。
「内臓脂肪を落とすことが、若返りの最短コース」になるのは、見
た目と中身の両面から若々しさを実現できるからだ。実際「内臓脂
肪が寿命を縮める」という調査報告もあるのだ。
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