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『 田中優の未来レポート 』
第291号/2023.9.15
http://www.mag2.com/m/0001363131.html
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「どうしたら寿命を全うできるのだろうか(下)」
前号は東電の汚染水放出があり、「どうしたら寿命を全うできるのだろうか」の続編を飛ばしてしまった。気持ちを元通りにして、その続編を書くことにしたい。
というのは、とても惜しまれる若くて優秀な友人を二人も失ってしまったからだ。坂本龍一さんを失ったことも大きかった。
NO NUKES 2019 楽屋にて
相談するに足る柔軟さを持った人という点では、坂本さんは本当に素晴らしかった。博覧強記でありながら柔軟で、決して偉ぶらずにきちんと話を聞いてくれる点で、ぼく自身の父親を思い出させる人だった。父もまた博覧強記の人で、父と夜を徹して話し合うことは楽しい時間だった。その父は交通事故で、信号無視して走ってきた原付バイクにひき逃げされて亡くなってしまった。(まだ犯人は見つかっていない)
それよりは突然ではなかったが、坂本さんの逝去はとんでもなく痛手だった。まるで大きな欠落に気づいて、元に戻せない痛みを感じるのだ。もちろん世界的に偉大な音楽家で、坂本さんを知る人がとても多いことは知っているから、ぼくだけの喪失感でないことはわかっている。だが坂本さんの逝去は、ぼくの所蔵する図書館があるとして、その半分の蔵書を失ったような喪失感なのだ。もちろんそんなに話せる相手でもなかったから、そんなに多く会話していたわけでもない。だけど坂本さんの存在自体がぼくにとっては蔵書庫のようなものに思えた。もしかしたら確認するだけの作業だったかもしれない。しかし坂本さんがいることは、大いなるハックボーンだった。これからもこんな悲しい喪失を感じることになるのかもしれない。なぜってぼくは多分これからも、長く生きるだろうからだ。
ぼくは「惜しい人」にはなれないだろう。そこから考えると、きっと長く生き続けられる気がするのだ。しかも意外なことに、今や自分の体の健康に気をつけているからだ。
ここ10年ほどの間に、二度も脳出血を経験してしまった。それでも曲りなりに健康に生きている理由は、脳出血した部分が「絶望的な場所」ではなかったおかげだ。あと少しで身体が動かない状態になったり、呼吸そのものができなくなりそうな部位だったが、幸いにして多少歩くのに不自由する程度で済んだ。こうした幸運に恵まれて、今なお生かされている。妻や幼い子どもを残してはいけないから、生への執着も十分にある。孫に囲まれていることも動機になっている。簡単に言えば、「生きていたい」のだ。その執念のおかげで長く生きられそうな気がする。
その人たちの逝去の大きな原因が「がん」によっている。ではその「がん」によって倒されないために、「薬品」ではなくそれに対抗できる「免疫」に期待したい。その免疫は発がん性が始まってから対応するものだから、発がん性ウイルスと同じくらいに誕生しているものでなければならない。要はとてつもなく古くに生まれた生命体に可能性がある。
どのくらい古くからあるのかという疑問を感じてウイキペディアで調べてみると、最終共通祖先 (LUCA)自体すでにウイルスに感染していた可能性があるという。
ウイルスの進化Wikipediaより
全生物を対象にした進化系統樹例(図1)。
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