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臨床研究、創薬支援センター発足

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室209.2023.9.17. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** 臨床研究、創薬支援センター発足  現在、世界においては、様々な新しい薬が創薬されていますが、その新薬の効果や安全性を調べるためには、治験と呼ばれる臨床試験が必要です。臨床試験はかなり手間がかかり、従来の職種だけでは対応できないため、CRC (クリニカルリサーチコーディネーター)と呼ばれる専門の職業の方の支援が必要です。ただ、松阪のような地域においては、CRCの方はほとんど存在せず、臨床試験を遂行することがなかなか難しかった事は事実です。今回、松阪市民病院において、CRC 6名以上の体制で、臨床研究創薬支援センターを発足し、臨床試験や研究の支援を行おうと言う体制を整えることにしました。  目の前の治療に行き詰まった時、我々は無力感を感じます。  肺癌治療を考えてみましょう。現在治療は日進月歩であり、次々と新薬が開発されています。現在保険診療では使えなくても、開発中の効果的な薬剤がある場合があります。現在に至るまで、そのような新薬は、多くは都会の癌センターでしか使用できず、三重県の患者さんに届かないことがほとんどでした。  現在、我々松阪市民病院では、抗がん剤や分子標的薬を始め、感染症や間質性肺炎、COPD、喘息など、10種類以上の新薬の開発を行っています。わざわざ都会の癌センター、都会の大病院に行かなくても、効果的な新薬を使用することが可能な場合があります。しかしながら、新薬を開発し使用していくためには、効果や安全性をモニタリングするため、臨床試験が必要です。そして、その臨床試験は、医師の手だけで行う事は困難であり、臨床試験をサポートするコーディネーターの方が必要です。コーディネーターの方をCR(ClinicalResearch Coordinator)と呼ぶわけですが、三重県内医療機関の中で、自前でCRCの方を雇用している病院は少なく(臨床研究が県内ではあまり行われていないことも理由の一つです)、多くは都会の会社からの派遣にとどまっていました。  今回発足した臨床研究創薬支援センターは、薬剤師、看護師、臨床検査技師を中心にCRC6名以上の体制を整え、医師、患者さん、新薬を開発する会社間の調整を行うことが目的です。まさに、松阪市民病院でしかできない医療を目指して発足するわけです。  一方、創薬の支援以外にも、臨床研究の支援も行っていきたいと考えております。  独りよがりの臨床研究は全く価値はなく、その臨床研究が認められるためには、質が高い英文雑誌に研究内容を投稿し、受理され、掲載されることが必要です。しかしながら、日常臨床を行いつつ、そのような雑誌に掲載されるような研究を行っていく事は簡単ではありません。松阪市民病院の医療の質を高めていくためには、モチベーションが高い医療従事者に集まってもらうことが必要だと思いますし、そのためには質が高い臨床研究を行うことができる体制を整えることが大切だと考えています。  数年前には考えられなかったことですが、毎年有名な英文雑誌に、松阪市民病院発の研究が数多く掲載されています。今後も無理なくその状況を持続するには、研究を支援していく体制作りが必要であり、その一環として松阪市民病院に、「臨床研究創薬支援センター」ができる事は非常に意義深いことであると考えます。  今回の「臨床研究創薬支援センター」の発足が、松阪市民病院の医療の向上につながり、さらには、都会の大病院でなくても、熱意があれば、質が高い臨床研究を行うことができると言う事実を日本全国に発信することにつながればと考えております。  「松阪市民病院発のエビデンス」を作ることを目標に頑張っていきたいと考えます。 ***************************** ドクター畑地の診察室209.2023.9.17号 毎週日曜日お昼に配信予定です。 次号は2023.9.24.です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/ https://www.facebook.com/mch.respiratory.center/ 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php ***************************** ★お知らせ★ 好評発売中『ドクター畑地の診察室』バックナンバー 1ヶ月分を220円で購入できます。気になった号がある方はぜひチェックしてみてください! ◆2023年08月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2023/08

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