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234回 弱いものいじめの真の犠牲者

和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
ジャニー喜多川氏の性加害について、マスコミが袋叩きにするだけでなく、企業もCM打ち切りや中止が相次いでいる。 基本的には私は正しい判断だと思っている。ジャニーズ問題は、日本よりむしろ海外でのほうが有名になっているし、日本で報じられなかった頃からBBCなどが叩いてきた。 今は企業は海外での評価を気にするし、それが株価に響くから、企業防衛としては賢明な選択だ。 タレントに罪がないというかもしれないが、それがいやだったら、タレントはやめる権利がある。今、独立したり、移籍しても、むしろマスコミや広告主は好意的に受け止めるだろう。以前と違って、ジャニーズのタレントは自由度が高い。 実は、ジャニーズはCM打ち切りでは、まったく応えないくらいの資金源がある。 それがファンクラブ収入だ。1300万人、年間520億円の収入になる。 だから、会社の社長になりたがる人もいるし、前の社長も残る理由になるのだろう。 これにしても、所属タレントがやめればファンクラブ収入が減る。 そちらのほうがはるかに強い制裁になる。 さて、私は、この問題をジャニーズ問題で終わらせていいとは思っていない。 優越的地位を利用して、出演させてやるからやらせろなどという話は、私も長く生きてきたし、テレビ関係者もたくさん知っているから、かなりの数で聞いている。 一般の世界でも、その手のセクハラは横行しているのも精神科医をやっているからよく知っている。 性被害という点では、警察は本当に役に立たない。 レイプされた人のうち、警察に訴えた人は3.7%ということになっているが、おそらくは10%程度と私は推測している。要するに被害届 を、人手不足とか証拠不十分とかいって受け付けないのだ。そのくせ、一時停止違反を捕まえるのに3人も警察官が一日立っている。そして、やっと被害届が受理されても3割程度しか起訴されない。100万円の示談金を払えば、警察は強制的に被害者に示談を勧める。金持ちにとってレイプは100万円の売春だ。それを警察が勧める不思議な国だ。交通に人を割くため、よほど捜査をしたくないのだろう。 ただ、一般企業ではセクハラの窓口に訴え出たら、まず勝てるようになったという話も聞いている。相手をクビにするくらいで満足できるのであれば、多少の救済ができる。 もちろん、非正規雇用や取引先ということでのセクハラは窓口はない状態だから、やはり弱い女性は被害者として、無視されるのも事実だ。 大臣や管理職を増やしても、女性差別はなくならない。非正規雇用、そのほかの弱い女性はいつまでも守られることはない。 テレビのタレントも、プロデューサーやディレクターにやられても、セクハラ窓口がない。大学だったら、学生に手を出せば、教員はクビの時代なのだが、テレビ局の連中はやり放題だ。 ただ、一般のセクハラや性加害と比べて、テレビ関係者が優越的地位を使って、性行為を要求するのは、二つの点で社会的に問題がある。 一つ目は、テレビ局が公共放送だということだ。 公共放送を行うことで、携帯電話会社の100分の1程度の電波使用料しか払っていない。 それで社員の平均年収が1500万円という実態がある。 きちんと電波使用料を払っていれば、その分税金も安くなる。 国民の負担の上で、高い給料をもらっているのだから、たとえばテレビ出演者を決めるのは公共の利益にならないといけない。それを自分のスケベのために悪用するとすれば、そんな職員のいるテレビ局には携帯電話並みの電波使用料を払ってもらわないといけない。 もう一つは、その被害が高齢者に及んでいることだ。 高齢者が人口の3割近くになる上、若い人たちがテレビをみない。 先日、立命館大学の講義に行った時も、テレビを見ている学生は1割もいない。一人暮らしの場合は3人に一人しかテレビ受像機を持っていない。 高齢者が視聴率のカウントからはずされている(高齢世帯には、視聴率調査の機械がつけられない)という事情があるにせよ、おそらく視聴者の7割くらいは高齢者になっているのに、若者向け番組ばかり作られ、高齢者向け番組は作られない。 これはテレビの製作者がアホだからと思っていたが、ジャニーズ問題を見るにつけ、スケベだからだとわかった。 若者向けの若者が出る番組を作っていれば、「出してやる」といってタレントとHをし放題だが、高齢者向けの番組で出るのが高齢者だと、「こんなババア(女性プロデューサーやホモの人ならジジイ)とやれるか」といったのが本音だろう。 大学の教員が学生とHするとクビになるように、公共放送のスタッフがタレントに手を出すのを禁止にしないと、高齢者向けの番組など作られない。 企業の宣伝部の人たちも若いタレントとHできる役得があるのか、二世のボンボンが多いのか、これを黙認しているし、電通なども、クライアントより自分の役得を考えて若者向け番組ばかり作らせる。若者向けを作っても、視聴率も取れないし、彼らは金がないから売り上げも増えないのに。 高齢者は、つまらない番組ばかり見せられても、脳は活性化しないし、免疫力も上がらない。結局、テレビ局のスケベの代償は、高齢者にくるのだ。 テレビ局が浄化しない限り、高齢者はヨボヨボになり続ける。

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  • 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
  • 世の中のいろいろなことにたった一つしかないと考え、それを信じ込むことは、前頭葉の老化を進め、脳に悪い。 また、それが行き詰った時に鬱になるというメンタルヘルスにも問題を生じる。 ところが日本では、テレビでもラジオでも、○○はいい、××は悪いと正解を求め、一方向性のオンパレードである。 そこで、私は、世間の人の言わない、別の考え方を提示して、考えるヒントを少しでも増やし、脳の老化予防、メンタルヘルス、頭の柔軟性を少しでもましになるように、テレビやラジオで言えない暴論も含めて、私の考える正解、私の本音を提供し続けていきたいと思う。 質問、相談、書いてほしいテーマ等、随時受付。
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