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JT、ウクライナからロシアの「戦争支援者」リストに指定 露シェア第1位のたばこシェアをもつJT 「発展途上国にたばこを売りまくれ!」
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JT(日本たばこ産業)がロシアからの侵攻を受けるウクライナから猛烈な批判を浴びている。
8月下旬、ウクライナ政府はJTの海外の子会社「JTインターナショナル」が、軍事侵攻を続けるロシアでの事業を継続し、ロシアを経済的に支援しているとして、「戦争支援者」のリストに加えたと発表。
日本企業の子会社が、戦争支援者に指定されるのは初めてのことだ。同時に、アメリカのフィリップモリスもリストに加わった。
ウクライナ政府は、ロシアで事業を続け、ロシア国内で税金の支払いなどを通じて軍事侵攻を支えているとみなした国際的な企業を「戦争支援者」とみなし、ロシアでの事業の停止や撤退を強く迫っている。
このうちJTインターナショナルについては、ロシアのたばこ市場におけるシェアを最多の34.9%を占め、ウクライナの国家汚職防止庁は8月24日、JTインターナショナルを、
「ロシアのたばこ産業への最大の投資者で、主要な納税者だ」(1)
と強く非難する。さらに、2021年には、JTインターナショナルから戦闘機100機を購入できるおよそ36億ドル(約5200億円)がロシアの国家予算に直接入っているとし、
「企業の代表は、ロシアでの新たな投資とマーケティング事業を停止したとしているが、ロシアでの製品の製造や流通を続けている」(2)
と続けた。
「戦争支援者」リストには、これまでに中国やアメリカなどに本拠地を置く30社以上が指定されている。 一方、JTは、
「ウクライナ政府の決定については承知している。ウクライナでは今も通常どおり事業を行っていて、必要な支援によってウクライナ経済に引き続き貢献していきたい」(3)
とコメント。これまで通り、ロシアでの事業を続けるとした。
目次
・JT「発展途上国にたばこを売りまくれ!」
・日本の緩すぎるたばこ規制 たばこ利権の裏で
・「たばこ無害論」は、JTによる巧妙な世論操作の一環
・JT「発展途上国にたばこを売りまくれ!」
今回の問題の背景には、世界的な健康意識の高まりで喫煙率が減少するなか、しかし、とくに発展途上国でJTがたばこを”売りまくり”、さらにロシアのような海外事業にも力を入れているという事実が隠されている。
JTグループは、世界120カ国以上でたばこ事業を展開し、2013年の時点では、海外のたばこ収益が47.7%と、国内の収益32.4 %を上回っている。
JTインターナショナルは、世界70カ国に事業所を抱え、28カ所の生産・加工場を持ち、全世界で2万4000人の従業員を抱え、100カ国以上の国籍の労働者が働いている、超巨大グローバル企業だ。
他方、近年は世界的な海外M&A展開を行い、積極的な海外事業を進めていった。まだ日本で「M&A」という用語が身近でなかった時代、JTは1992年にイギリスのマンチェスターたばこを買収、1999年にはアメリカのRJRナビスコを9400億円で買収。
この時点で、JTは世界第3位のたばこ事業者という地位を手に入れた。
その後も、2007年にはイギリスのギャラハー社を買収。その規模は、2兆2000億円に上り、同時期にソフトバンクがボーダフォン(イギリス)を買収したときの買収額1兆9000億円を上回る。
同時にJTは、ロシアやトルコなどの新興国のたばこ企業を買収。新興国だけでなく、2011年にはスーダンの大手たばこ企業を、2012年にはエジプトの企業を買収しており、アフリカへの進出も果たした。
現在のたばこの消費量は、先進国市場における減少を、発展途上国や新興国での増加で補っている状態だ。とくに、アジアや中東、アフリカや中国、ロシア、インド市場におけるたばこ消費量は著しいものがある。
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