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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」
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第638号(2023/9/17) 「アーム祭り」でやり過ぎだったが、TSMC報道で冷水、日本株は一段とやり過ぎだった/日米金融政策に今週は変更なしか
この週刊「世界経済・市場花だより」は、めまぐるしく変化する世界の経済や市場の動きなどについて、ブーケ・ド・フルーレット馬渕治好が、わかりやすく解説します。
※ 自主開催セミナーの予定です(カッコ内は、現時点でのお申し込み数/定員、です)。残席は、10を下回った場合に表記します。
9/23(土、祝)葛西(8/20)
9/30(土)高岡(4/25)
10/7(土)名古屋(6/25)
10/14(土)福岡(3/20)
10/21(土)浅草(18/20)(残席:2)
10/28(土)大阪(5/18)
セミナーのスケジュールは、
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のページの下の方にあります。詳細やお申し込みは、それぞれのリンク先をご覧ください。
☆過ぎし花~先週(9/11~9/15)の世界経済・市場を振り返って
<米主要経済統計の通過や「アーム祭り」で過度の楽観が広がったが、TSMCを巡る報道が冷水を浴びせた>
(まとめ)
先週は、米国の主要な経済統計については、当初見込んでいた「景気は鈍化、インフレは強含み」という見解に沿ったものでした。ただ、事前予想よりわずかですが、景気指標は強め、インフレも強めでした。
米国株式市場などは、そうした経済統計の内容そのものに反応したというより、統計発表を通過したという安心感からか、楽観に支配されて株価が上振れしました。また日本株は一段と過度の楽観の様相を強めました。
楽観が広がった背景としては、アーム社の上場が成功裏に終わり、半導体株全般やさらには株式市場全般に、明るい心理が広がったため、とも言われています。しかし半導体株が何でもかんでも買われるような地合いは行き過ぎで、「アーム祭り」と揶揄されるような体たらくであり、少し前にエヌビディアから広がった「生成AIブーム」と共通した危うさを感じます。
実際にも、週末(日本市場の引け後)に、TSMC社が半導体製造装置の同社への納品を遅らせるよう要請した、との報道が伝わると、そうした行き過ぎた楽観に対し、正しく冷水が浴びせられました。
(詳細)
前号の当メールマガジンでは、先週の材料として注目された米国の8月分の経済統計については、「景気は鈍化するが、インフレは根強い」といった、株式市場にとって良くない結果になるだろう、と解説しました。実際の統計の内容は、そうした見解に沿ったものでした。ただ、全般に事前予想よりはやや強めでした。
具体的には、経済指標では、
小売売上高(前月比):7月は0.7%増から0.5%増に下方修正、8月は0.6%増とほぼ前月並みの伸びだが事前予想の0.2%増を上回る
鉱工業生産(前月比):7月は1.0%増から0.7%増に下方修正、8月は0.4%増と前月から鈍化したが事前予想の0.1%増を上回る
という形でした。
小売売上がやや強めな印象がありますが、これはガソリン価格の上昇により、ガソリンスタンドでの売上高が前月比5.2%も増加したことが大きく、個人消費が順調だとは言い難いです。
物価指標については(すべて前年比)、
CPI(消費者物価指数):7月3.2%に対し8月は3.7%と伸びが高まり、事前予想の3.6%を若干ながら上回る
CPIコア(食品とエネルギーを除く部分);7月の4.7%から8月は4.3%に伸びが鈍化、事前予想と一致
PPI(生産者物価指数):7月の0.8%から8月は1.6%に伸びが高まる、事前予想の1.2%をも上回る
PPIコア:7月の2.4%から8月は2.2%に伸びが鈍化、事前予想と一致
と、コア前年比は落ち着いても、エネルギー価格の上昇により全体の物価指数は伸びが高まる、というインフレ懸念を呼びそうな内容でした。
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