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週刊Life is beautiful 2023年9月19日号:トンガでWhale Swimming

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん トンガでWhale Swimming 先週は、ネット環境の悪いところにいると報告しましたが、実は、トンガ王国まで行って、鯨と泳いで来ました。私にとっては、一生に一度の大イベントだったので、今週はそれについて話したいと思います。 私が「鯨と泳ぎたい!」と思ったのは、10数年前です。ハワイで何度か「Whale Watching(船の上から鯨を見ること)」をして、鯨には親しんでいましたが、National Geographicsで鯨と泳ぐ人の映像を見て以来、「一度は鯨と泳ぎたい!」と思うようになりました。 ところが鯨と泳ぐのは簡単ではありませんでした。ハワイには、鯨に100ヤード(約90メートル)以内に近づいてはいけないというルールがあり、鯨と泳ぐには、鯨からこちらに近づいてくる状況を作る必要があります(鯨がこちらに近づいてくるのは問題ありません)。Whale Watching船にも、たまに鯨から近づいてくることはありますが、そこから水に飛び込むわけにはいかないので、手漕ぎのカヌーで鯨に前方から近づき、水に飛び込んで、鯨が近くに来てくれることを期待するしかありません。 マウイにいるときに、何度か試みましたが、水中で鯨の影を見ることすら出来ませんでした。 一度は諦めかけていたのですが、私がハワイ島で属しているビーチクラブのスタッフの一人が、トンガで行われている「Whale Swiming」に詳しく、彼に頼めば、クジラと泳ぐことができるかも知れないという情報を得たので、早速アレンジをお願いすることにしました。 トンガ王国は、同じポリネシアのフィージーやタヒチと比べると、小さな国で、観光産業も桁外れに小さいのですが、観光客が少ないからこそ可能な「Whale Swimming」という他の国には存在しない観光ビジネスが、期間限定で細々と行われているのです。 私たちが目指したザトウクジラ(Humpback Whale、大人のサイズは14〜17m)は、夏は北極や南極の近くでオキアミなどを食べて栄養分を蓄え、冬になると出産・子育て・繁殖のために赤道近くの暖かい海域(北半球ではハワイやメキシコ、南半球ではオーストラリヤやタヒチ)にやって来ます。トンガ近辺には7月から9月にかけて数多くのザトウクジラがやってくるため、その3ヶ月限定の観光ビジネスです。 私たちが泊まった宿は、インフラ施設が皆無な離島にある「(Treasure Island Eco Resort)[https://www.treasureislandtonga.com]」というところでした。リゾートという名前はついていますが、客室数が8つしかない小規模な民宿のようなところでした。地味なところですが、リピート客も多く、すぐに一杯になってしまうため、1年前から予約をして準備する必要がありました。 行きはハワイから、Honolulu、Apia(Samoa)、Navi(Fiji)、Vava'u(Tonga)と乗り継ぎいて行ったのですが、途中飛行機が3時間半ほど遅れたこともあり、Vava'uの空港から車で40分、さらに小舟で40分を追加すると、トータルで22時間の長丁場でした(日本からだと、Naviに直行便があります)。 トンガがこれほど不便なのは、国営のトンガ航空が経営破綻している上に、空港も整備されていないため、基本的にFiji Airwaysでフィージー経由で来る必要があるためです。フィージーの観光産業が$1billion(約1,400億円)超なのに対して、トンガの観光産業は約$50million(約70億円)程度しかないそうです。 宿はいわゆるバンガローで、一応トイレとシャワーはついていましたが、水は雨水を溜めたタンクからのものでチョロチョロしか出ず、電気は太陽光パネルからの電力を使う裸電球二つがあるだけで、WiFiはおろか、スマホの充電も出来ないエコな作りでした。1週間の滞在期間、洗濯ができなかったので、できるだけ簡単に手洗できる水着で過ごすようにしました。 Whale Swimmingには4回行きましたが、いずれの場合にも鯨と複数回泳ぐこと(トータルで10回以上)に成功しました。私の知り合いで、2週間ほど前に別の場所でWhale Swimmingをした人がいますが、彼らは2回の試みでたった一回しか鯨と泳ぐことが出来なかったそうなので、かなり成功率が高いと言えます。自然を相手にしたイベントなので、運も大きく関わりますが、これだけの差が出たのは、ガイドの腕の違いだと思います。 上に書いた通り、ザトウクジラは、出産・子育て・繁殖のためにトンガに来ていますが、一緒に泳ぐことが出来る鯨は、基本的には生まれたばかりの子供を持つ鯨の親子(もしくは家族)です。 生まれたばかりの鯨は、トンガにいる間は母乳を飲んで育ち、秋の南極への移動に備えます。子鯨はまだ泳ぎが上手ではなく、長く潜っていることが出来ないので(5分ぐらいが限界)、波が穏やかな浅瀬で、母親が20メートルほど潜ったところで止まり、子鯨は潜ってミルクを飲んでは水面に出て息継ぎをする、という行動を繰り返すのです。 そんな状態にある鯨が、Whale Swimmingには最適なのです。母親が水面下でじっとしていてくれる限りは、ゆっくりと彼らの行動を観察することができるのです。 映像では、母親以外にもう一匹の鯨が水面下にいることが分かりますが、これは「エスコート」と呼ばれる鯨で、子鯨をサメなどの外敵から守る役割を果たしており、オスの場合もあれば、メスの場合もあるそうです。

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