【出会い】
「みっちゃんか?今日よ凄かったわけさ、俺がおごるから飲みに行かんか?」
みつおが残業をして帰るころにサトシが興奮して電話をかけてきた。
「何?儲かったんか?」
サトシは一切残業しないので、定時で上がってすぐにパチンコに出かけるのである。
みつおは毎日夜の9時まで残業していた。
結婚資金は貯めなくてもいいが、支払いをして遊ぶ金を残すためには残業は必須だった。
一旦寮へ帰り着替えて電車で出かけた。
飲みに行くと遅くなるのは決まっていたので、タクシーで帰るしかなかったからだ。
「いくら儲かったんか」
「今日はいつもの台が出そうもなかったから、違うパチンコ台に座ったわけさ」
サトシは興奮して話しはじめた。
勝ったいきさつ細かく話したいのである。
「あー、今日もダメだなと思っていつもの台に戻ったら空いていたわけよ、財布には2,000円しか残っていなかったけど、最後のチャンスでやろうと思って座ったわけさ」
「うん、で?出たの?」
「みっちゃん、まぁ落ち着け、とりあえず1,000円入れて様子みたけと、何か出そうもないから、隣に移ろうと思ったら、変なおばさんが座りやがって、ムカつくと思いながらしょうがないから最後の1,000円入れて帰ろうと思った途端にプレミアムリーチがかかったわけよ」
その後、延々とどんなリーチでかかったかを全て説明するのだった。
「まさかの10連ちゃんよ、今日はおごるからさカラオケも歌いに行こう」
かなりハイテンションなサトシだった。
こんな顔は1カ月ぶりである。
いつも負けた話を延々と聞かされるのだが、今日は奢ってもらえるので我慢して最後まで自慢話を聞いていた。
いつものみつおは毎日残業なので、寮に帰ったら自炊をして一人で食べていた。
終電でサトシが帰ってきて、みつおが作ったごはんをたべるのだが、儲かったときにはみつおを呼び出して居酒屋で食事をするのだった。
しかし、そんなにボロ儲けをすることはほとんどなかった。
せいぜい居酒屋までだったのだが。今日はかなり儲かったのかもしれない。
サトシの行きつけのパブに連れていってもらうことになったのだった。
「イラッシャイマセ」
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