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中国、EUとEV「紛争予兆」 23%の高関税掛けられれば「経済混乱」

勝又壽良の経済時評
  • 2023/09/18
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中国の補助金政策が限界 ITからEVへの乗換え 魅力的クルマづくりが鍵 EU不退転の決意で抑制 中国とEU(欧州連合)の関係に、大きな問題が起りそうな気配になってきた。EU委員会(行政執行機関)は9月13日、輸入急増の中国製EV(電気自動車)が、政府補助金を受けていることを理由に関税導入の是非を調査することを決めたからだ。 欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、中国EVが「巨額の国家補助金によって価格が人為的に低く抑えられており、われわれの市場をゆがめている」と欧州議会で述べて、調査開始を発表した。「EU域内に起因するこうした歪みをわれわれが受け入れることはない」と指摘した。フォンデアライエン委員長の発言は、EUが断固として中国EVの「歪んだ価格」を受け入れないという意味である。 調査は、最長9カ月を要する可能性があるという。米国が、中国EVにすでに課している27.5%水準に近い高い関税率が適用され可能性も指摘されている。これが現実化すれば、中国EVは主要輸出先を失うことになりかねない重大事態だ。 中国商務省がウェブサイトに14日掲載した声明で、中国はEUに対しEV産業のために公平で差別のない予測可能な市場環境を生み出すため対話を行うよう求めた。同時に、EUによる今後の行動を注視し、中国企業の権利と利益を断固として守ると警告する事態になった。一触即発の雰囲気である。 中国の補助金政策が限界 中国は、EVに対して國を挙げての育成方針をとってきた。ガソリン車では、精巧なエンジン製造が難しくとうてい先進国に対抗できない。だが、EVであれば製造部品は大幅に減少できるので、輸出で主導権を握れるとの計算が働いてきた。このため、地方政府はEVと聞けば内容を精査することもなく、工場建設段階から補助金を出す大盤振る舞いをしてきた。

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  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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