第281号(2023年9月22日号)
『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』
はじめに:
いつもメルマガをお読みいただきありがとうございます。
今週はドイツに滞在しています。
さて、今週号の内容ですが、まず【1】の
『無敵の交渉・コミュニケーション術』のコーナーでは、
今週から【相手の超強気な交渉戦略の破り方】についてお話しします。
自分の要求だけ言い放って、こちらの言い分は全く聞こうとしない。
嘘を並べても、全く気にもせずに、居直る。
事あるごとに自分が強いアピールをして脅してくる。
超強気な交渉戦略にもいろいろな例が考えられます。
『超強気に出ることでこちらが主導権を握ることが出来る』
そんなとんでもない勘違いをしている交渉担当者は山ほどいます。
そのような相手を目の前にした時、もしかしたらあなたは
『もうやってられるか』
と交渉を打ち切ってしまいたくなるかもしれません。
しかし、超強気な交渉戦略に直面することは、
実はあなたにとって交渉において優位に立つ絶好のチャンスだとしたらどうでしょうか?
今回から数週間にわたってこのシリーズのお話をいたしますが、
その注目の内容は、本編をお楽しみに♪
次に【2―国際情勢の裏側】ですが、今週もいろいろなことが起きた一週間でした。
一つ目は【今年もやってきた国連総会ウィーク】です。
今年は9月19日に始まった国連年次総会における各国首脳による一般討論演説。
初日にはグティエレス事務総長、バイデン米大統領の演説のほか、ウクライナのゼレンスキー大統領の演説も行われました。
ただ一般討論演説の様子を見てみると、各国の関心の低さが鮮明に映し出されていました。
通常、米大統領が演説する際には総会場は満員になりますが、
今回のバイデン大統領の一般討論演説の際には空席が目立ちました。
昨年、ビデオメッセージでゼレンスキー大統領が演説した際も満員御礼で、
かつスタンディングオベーションで団結を示していた各国首脳と代表団でしたが、
今年は、対面での参加・演説にも拘らず、総会場は閑古鳥が鳴く状態で、
ゼレンスキー大統領が多用した“団結”は見られない有様でした。
これは国連の機能不全、または役割・関心の著しい低下を示すのでしょうか?
それとも・・・。
二つ目は【ナゴルノカラバフ紛争の再燃と中央アジアにおける火種】です。
9月19日にアゼルバイジャン軍が軍事行動を実施し、次の日にはアルメニア側が武装解除を受け入れることで、
アゼルバイジャン側の勝利に終わったナゴルノカラバフでの武力衝突。
2021年の停戦合意に基づき駐留していたロシア軍の平和維持軍の仲介により、
武力紛争がエスカレートする前に何とか戦闘は終結していますが、今後の見通しについては不透明です。
9月21日にはアゼルバイジャン中部でアゼルバイジャンとアルメニア政府の間で“今後のこと”、
特にナゴルノカラバフのアゼルバイジャンへの“統合”についての協議が開始されましたが、
アルメニア国内の政治状況に鑑みると、一筋縄ではいかない予感がします。
地域に大きな影響力を及ぼしてきたロシアが、現在、ウクライナとの戦争にどっぷりと浸かり、
どうしてもコミットメントのレベルが下がる中、強気に出るアゼルバイジャン政府の思惑も見え隠れします。
私自身、先のナゴルノカラバフ紛争の調停に携わったので、非常に先行きを懸念しています。
三つ目は【ロシアの孤立が深まっているのかどうか】についてです。
金正恩氏を厚遇したこと。
すぐさま中国に対する気遣いを見せ、フォローアップをロシア側から行ったこと。
イランとの関係強化に動いていること。
これらの動きの活発化は、プーチン大統領とロシアが国際社会において孤立を深めている証拠なのか?
それとも反アメリカ陣営の結束の強化と見るべきか?
なかなか分析が難しい状況です。
状況を複雑にしているのは、ロシアの“裏庭”と位置付けられてきた中央アジア諸国(スタン系の5か国)が、
温度差はあるものの、ロシアと距離を置こうとし、それに並行してアメリカに近づくという、
バランシング戦略を選択していることと、グローバルサウスの国々の動きと思惑です。
【2-国際情勢の裏側】では、これら3点の内容を絡めながら、
【分断深まる国際社会とpostウクライナの世界像】についてお話しします。
今回のメルマガも長くなりましたが、どうぞ最後までお付き合いくださいね。
それでは今週号、スタートします★
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