■易経にはすべて書いてある
易経は紀元前から語り続けられたきたノウハウだ。「時流に乗るも
のは時流により滅ぶ」という真理の裏で三千年もの歴史の波を経て
生き抜いたのが易経だ。決してブレないものがある。
その教えを理解し、正しい手順で実践すれば、驚くべき結果が待っ
ている。仕事や家庭など、人生全般における悩みや迷いが消え、一
つ人が納得いくものとして輝きはじめるはずだ。
もちろん、考え方を変えただけで急に運が良くなるわけではない。
幸運と不運の扱い方を変え、自問自答して、あらかじめ納得のいく
答えを出せるようになるだけだ。だがそれだけで人生は変わる。
人生は決断の連続だ。食べたものが身体をつくるのと同様、自分が
行った決断が人生をつくる。人生を幸せなものにできるかどうか
は、すべて自分の決断にかかっているわけだ。
決断を間違えたくないから未来を見通しておきたい。この想いが易
経の原点だ。紀元前の中国の王たちが、重い決断の責任を果たすた
めに、財力と権力を駆使してまとめさせた集大成が易経なのだ。
★
易経によれば、幸運・不運は天の循環で表裏一体のものだ。人が思
いどおりにできるものではない。人にできることは、幸運をできる
限り長持ちさせ、不運をできるかぎり最小化することだけだ。
不運を「天災」、その後のまずい対応が招く不幸を「人災」と呼ん
で区別するなら、天災は避けられないが、人災なら避けられる、と
いう考え方だ。そのためには幸運・不運を予測する術が重要だ。
『易経』では、まず「陽と陰」の二進法に基づき、その6乗にあた
る64パターンの状況の変化を想定する。さらに、それぞれに時
間・空間、成長段階や立場の違いなどに対応すべく、
6段階の構造でさらにストーリー化したことで、384もの決断のパ
ターンができる。これにより、幸運・不運の変化をある程度予測
し、パターンに対する最適な対応を準備できるようになった。
★
幸せとは、自分の生き方に自分が納得できること、人生を自分で決
められることだ。昇進や賞賛、金持ちになってちやほやされること
などは、幸せに当てはまらない。他者が決めることだからだ。
幸せになるには、まずその最終評価を他者に委ねないことが必要な
のだ。そのためには、自問自答を習慣にすることだ。そこで使える
のが、まさに易経なのだ。
易経が準備した問いに対して自問自答する習慣をつければ、これか
ら起こることに備えられ。先人と同じ失敗を繰り返すことがなくな
り、先人たちが獲得した成功パターンも再現できるようになる。
★
易経を理解すれば、運などに左右されない、ブレない判断軸を持つ
ことができる。だから、経営者の本棚には易経があることが多いの
だ。組織のトップになれば、決断の重みが違うからだ。
また、人事や事業買収・売却など誰にも相談できない案件もあり、
自分独りで決断せねばならない場面も多い。だから、易経に答えを
求めるしかない。そんな経営者の孤独も理由の一つと言える。
多くの尊敬すべきリーダーが学ばれる易経には、やはり何かがあ
る。リーダーなら、どんな困難にあたっても、ブレずにフォロワー
を導かねばならない。
科学者は、この世界の成り立ちと今後の可能性を解明しようとす
る。さらに、一般にも説明して理解を広め、実際に活かされるよう
にしようとする。
どちらも人智を超えた領域へのチャレンジだ。だから、彼らは孤独
なのだ。頼れるのは己の判断力と決断力のみだ。将来をしっかり見
据えてブレない判断軸を定めることだ。
そして、決断すべき時にはきっぱり決断できるような、ブレない軸
としての志が求められる。そのように人類の進歩を導く人たちがヒ
ントを求めるのが易経なのだ。
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