カジノの収益を見込んでいますが、計画通りにいく 保証はまったくありません 。シンガポールの二番煎じの保証はないのです。
儲からなかったら、誰が責任をとるのでしょうか。
もちろん、またひとつ「負の遺産」が生まれるだけで、誰も責任を取りませんし、金額が巨額過ぎてどうにもならない──で終わりでしょう。これの繰り返しです。
2021年開催の東京五輪での新国立競技場は、建設費に1645億円かかりましたが、今後毎年の維持費が年間24億円費やされる予定です。
つまり、今後50年間で、1200億円の維持管理費がかかるのです。建設費にも匹敵する額なのです。
さらに、5年、10年毎に行う施設のリニューアルや修繕費が、今後の65年間で別途294億円必要になる──といった試算が日本スポーツ振興センター(JSC)から出されています。
建設費と同額に近い金額が、後世に先送りされます。
巨大施設は、作ったら終わりではないのです。こうした重大なことは、あまりにも顧みられていないのです。
大阪の夢洲での「万博」も「カジノ付き統合型リゾート施設」も、今から中止すれば、国際博覧会協会や参加国への補償金を含めても、数百億円の損害ですむと試算されています。
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神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる
第65回(2023年9月25日号)
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みなさま、こんにちは!
「衰退ニッポンの暗黒地図」をお届けするマネーアナリストの神樹兵輔(かみき・へいすけ)です。
今回は、「日本にカジノを作りたがる日本維新の会のタチの悪さ」というテーマでえぐっていきたいと思います。
日本でもカジノを作ったらどうか――という議論が起きたのは、1999年東京都知事だった故・石原慎太郎氏の「お台場にカジノを誘致したい」という趣旨の発言が端緒でした。
海外からの観光客誘致をはじめ、雇用や財源の確保に適しているから――というのが理由でしたが、博打を解禁することへの反発もあって、世論の賛否は分かれました。
その後の各種アンケート調査を見ても、今日に至るまで、賛成派と反対派はほぼ拮抗して2分され、やや反対派が上回ってきたというのが実情でした。反対派の主な理由は「ギャンブル依存症」や「風紀の紊乱」などの懸念が中心でした。
そして、大阪にカジノを含む統合型リゾート施設を作り、経済の起爆剤にしたいと積極的だったのが、大阪府知事や大阪市長も務めた当時の「日本維新の会」の共同代表だった橋本徹氏でした。
やがて、橋下氏の音頭取りで、自民党を巻き込み国会での法案提出にこぎつけた経緯があります。
つまり、「カジノ」は、橋本氏が率いた「大阪維新の会」や「日本維新の会」が狙った「大阪都構想」と並ぶ、悲願といってよい政策テーマなのでした。
その後、紆余曲折を経て、当時の故・安倍晋三首相も乗り気となって自民・公明両党の政権に「日本維新の会」の3党合同による賛成多数で、2018年7月に「カジノを含む統合型リゾート整備・実施法」が国会でようやく成立したのでした。
これが、いわゆる「IR整備・実施法」ですが、「IR」とは、Integrated Resortの略で、統合型リゾートと訳されるものです。
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日本にカジノを作りたがる日本維新の会のタチの悪さ
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当初は、カジノだけが、やたらとクローズアップされていたのですが、さまざまな議論を経るうちに、「カジノを含む統合型リゾート施設」という構想に落ち着いたという顛末だったのです。
カジノで海外からの富裕層の観光客を呼び込み収益を上げるとともに、国際会議場や展示施設といった「MICE施設」を中核として、ホテルやショッピングモール、レストラン、アミューズメント施設、劇場、映画館、スポーツ施設、温浴施設などを一体的に構成した複合観光集客施設が、「IR」というわけでした。
ちなみに「MICE施設」とは、Meeting(会議・研修・セミナー)、Incentive tour(報奨・招待旅行)、Convention(各種学会、大会、国際会議)、Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語です。
参加者が多いため、一般の観光旅行に比べて消費額も大きくなることが期待されるといいます。
日本でも米国のラスベガスやマカオ、シンガポールのような集客施設を作って、国際観光の推進に役立てたい――というわけなのです(世界では140以上の国、地域でカジノそのものは解禁されており、先進7か国のG7でカジノが非合法なのは日本だけです)。
しかし、この「統合型リゾート」ですが、なぜ、つねに一緒にカジノがくっついてくるのか――ということが、議論を大きく左右してきました。
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次回は 「原発処理水の風評被害を作り出しているのは東京電力と政府の隠蔽体質!」 というテーマで、処理水の問題を考えたく思います。
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