金融特区を世界に宣言
「縮み志向」から脱却
地価上昇の裏にある力
来年も4%賃上げ確実
日本経済は2024年で、資本自由化へ踏み切ってから60年を迎える。当時は、外国資本の日本進出を極端に恐れていた。戦後間もない日本企業が、外国資本に蹂躙されるのではないかと超警戒姿勢で臨んでいたのだ。今から言えば笑い話でも、日本企業は欧米企業との間に技術力や収益力で大きな格差があった。
その当時と現在で、変わらない点が一つある。それは企業も家計も同様だが、できるだけ多くの現金を持ちたがる習性である。日本はこの60年間で、人口動態が大きく変わった。今では、世界一の超高齢社会である。潜在的経済成長率が低下して、「フロー」の増加率は落ちているが、「ストック」でみれば他国がうらやむほどの金持ちである。だが、その多くは、企業も家計も現金で持っている。この現金を使って、いかに利益を生み出すか。そいう知恵を働かす時代へ移っている。
現金を多く持ちたがる心理の裏に、かつての貧困時代を彩る「縮み思考」が影を落としている。これをどのように精算するか。「意識の変革」は、簡単なようで大変に難しい問題である。だが、超高齢社会の現在、「ストック」からも利益を生み出す時代的な要請が高まっている。
金融特区を世界に宣言
岸田首相は9月21日、世界の金融関係者が集まる「ニューヨーク経済クラブ」で講演し、日本の資産運用業に新規参入するよう呼びかけた。特区創設を柱に規制改革を行い、ビジネス環境を整えると表明したのだ。
特区創設は、東京の国際金融都市化を支援するという意味でもある。あえて、「国際金融都市東京」と言わなかったのは、「特区」の方が世界の金融人へのインパクトを高めたかったのであろう。具体的には、海外の資産運用業者の参入を促進するために、次のような施策を行う。
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