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第232号 宇宙船地球号の憂鬱/南海トラフ地震へのカウントダウン(後編)/粟/なでしこ改め、ことなかれジャパン?

きっこのメルマガ
  • 2023/09/27
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「宇宙船地球号の憂鬱」 「今後もツイッターと呼び続ける会」の会員であるあたしとしては、まずは、その瞬間のNASAの公式ツイッターのツイートを紹介します。 NASA @NASA TOUCHDOWN! The #OSIRISREx sample capsule landed at the Utah Test and Training Range at 10:52am ET (1452 UTC) after a 3.86-billion mile journey. This marks the US's first sample return mission of its kind and will open a time capsule to the beginnings of our solar system. タッチダウン! #OSIRISREx サンプルカプセルは、38億6000万マイルの旅を経て、東部時間午前10時52分、ユタ州の試験訓練場に着陸しました。 これはアメリカ初のサンプルリターンミッションであり、太陽系の始まりへのタイムカプセルを開けることになるのです。 いや~!最高に素晴らしかった~!‥‥というわけで、24日の夜から25日未明に掛けて、ずっとNASAのライブ中継を観ていたのですが、小惑星探査機オサイリス・レックスから分離されたサンプル回収カプセルは、現地のアメリカ東部時間の9月24日10時42分、日本時間の同日23時42分、大気圏に再突入しました!そして、地上5050フィート(約1540メートル)で、「東京だョおっ母さん」‥‥じゃなくて、「ユタ州だョ落下傘」を展開して落下速度をスローダウンし、現地時間の10時52分、日本時間の23時52分、予定地点のユタ州ソルトレイクシティ南西のユタ試験訓練場に見事に着地しました!その瞬間、歓声と拍手で沸き立つNASAの管制室!ブラボー!ブラボー!ブラボー! パラシュートで降下して来ると言われると、普通は地上から見上げた映像を想像しますが、サスガはNASA!パラシュートが風に流されることを想定して、広い砂漠の中のどこに着地するかを上空から見下ろす形で追い続け、着地と同時にスタッフが急行し、サンプル回収カプセルを確保するというパーフェクトな作業を見せてくれました。そして、わが日本のJAXAが誇る「はやぶさ」と「はやぶさ2」に続き、世界で3番目の偉業を達成したのです! ‥‥そんなわけで、小惑星ベンヌの砂や石などを持ち帰る「サンプルリターン」をミッションとしたNASAの小惑星探査機オサイリス・レックスは、2016年9月8日に打ち上げられ、2018年12月3日にベンヌの上空に到着しました。約2年、公転軌道上からベンヌを観測し、2020年10月20日、ベンヌの地表にタッチダウンしてサンプルを採取することに成功しました。 その後もベンヌの観測を続け、翌2021年5月、地球に向けて航行を開始しました。そして、約2年を掛けて約38億6000万マイル、分かりやすく言えば61億8000万キロの旅をして、地球に戻って来たのです。オサイリス・レックスは、この往復だけで、ものすごくマイレージが貯まったと思います(笑) ちなみに、「OSIRIS-REx」を「オシリスレックス」と表記したり発音している日本のメディアもありますが、それじゃあ「クレヨンしんちゃん」みたいなので、あたしはNASAの人たちと同じく、英語の発音に沿って「オサイリス・レックス」と書いています。で、今回のミッション成功での最大の注目点は、オサイリス・レックスが地球にウーバーイーツしてくれたサンプルの量です。なんと250グラムもあるのです! 2010年6月13日、世界で初めてJAXAの「はやぶさ」が小惑星イトカワから持ち帰ったサンプルは、1グラムにも満たないものでした。肉眼では見えないほど小さな粉塵は、光学顕微鏡で見て約60個、電子顕微鏡で見て約1500個の微粒子でした。でも、この微粒子を世界の研究者に提供して高度な分析を行なったところ、一部の微粒子から水の痕跡を示す水素同位体が見つかったのです。これは地球の生命の根源を知る上でも極めて重要な発見でした。 そして、2020年12月6日、「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルは、なんと5.4グラム!これは大きな進歩でした。こちらのサンプルも世界の研究者に提供して高度な分析が行なわれましたが、今度は、塩や有機物を含む炭酸水や、生命に関わりが深いアミノ酸などが発見されたのです。 JAXAが世界で初めてサンプルリターンに成功した小惑星イトカワは、ケイ酸鉄やケイ酸マグネシウムなどの石質の物質を主成分とする「S型小惑星」ですが、今回、NASAが成功した小惑星ベンヌは、リュウグウと同じく、太陽系形成初期の有機物や含水鉱物をより多く含んでいると考えられる「C型小惑星」です。大きさは直径が約500メートルなので、直径が約900メートルのリュウグウの半分くらいで、ヘタクソな人が握ったおにぎりのような形をしています(笑) リュウグウとベンヌは、どちらも地球と火星の間を回っていて、地球の近くを通過する「地球近傍(きんぼう)小惑星」で、その構造も良く似ています。そのため、日米でそれぞれの小惑星を探査して情報を共有することで、太陽系の歴史や地球に水がもたらされた謎の解明につなげようという連携プロジェクトなのです。 JAXAとNASAの間では「サンプル交換」の協定が結ばれており、はやぶさ2がリュウグウから持ち帰ったサンプルは、優先的にアメリカへ提供されました。そして今回、オサイリス・レックスがベンヌから持ち帰ったサンプルも、優先的に日本に提供されます。戦争の同盟などクソ食らえですが、こうした科学的な同盟ならウェルカムなあたしです♪ ‥‥そんなわけで、リュウグウの5.4グラムのサンプルから得られた多くの情報は、今後、ベンヌのサンプルの分析によって補完されるだけでなく、さらなる発見も期待できるのです。そして、そのサンプルが250グラムもあるのです!だから、今回のミッション成功は、見ず知らずの人が競馬で250万円当てた、という話ではなく、仲のいい友人が競馬で250万円当てて、その何割かをあたしにお裾分けしてくれる、というウヒヒヒヒな話なのです。 で、今回のミッションを大成功させた立役者、NASAの小惑星探査機オサイリス・レックスがどうしたのかと言えば、地球へサンプル回収カプセルを届けた後は、ミッション名を「オサイリス・アペックス」と改め、次の目的地、小惑星アポフィスに向けて旅立ちました。2020年12月6日、小惑星リュウグウからサンプルを持ち帰ったはやぶさ2も、サンプル回収カプセルをオーストラリア南部の砂漠地帯に落とした後、次の目的地である小惑星「1998KY26」に向けて、絶賛航行中です。 まだ固有名詞の付けられていない「1998KY26」は、その番号からも分かるように1998年に初めて観測された小惑星で、直径は約30メートルしかありません。もはや「小惑星」というよりも「ちょっと大きめの岩」と言った感じで、サン・テグジュペリの『星の王子さま』が住んでいた星や、王子さまが地球に到着するまでに巡る6つの星を連想してしまいました。そして、そんな直径が約30メートルしかない小惑星にはやぶさ2が到着するのは、順調に行って2031年7月、あと8年も掛かるのです。 そんなに時間を掛けて、一体、何をしに行くのか?‥‥という話ですが、

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