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第765回 ウクライナの本当の戦況、失敗しつつある反転攻勢、リモートビュワーが見た2050年の未来
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▼今回の記事
今回はウクライナの戦況はどういうことになっているのか、その真実の状況を詳しくお伝えする。最後に、アメリカでは著名なリモートビュアーのリン・ブキャナンが見た2050年の光景を紹介する。
▼ウクライナの戦況と今後の状況
日本の主要メディアでは、ウクライナ戦争の報道が大幅に減っている。そうした中でも、激戦地の南部、サボリージャ州の「ロボティネ」では、ウクライナ軍はゆっくりとながらもロシア軍が設置した三重の防衛線を突破し、交通の要衝である「トクマク」に近づきつつあるとの報道が多い。そして、「トクマク」を占拠できれば、次にウクライナ軍はアゾフ海に進軍することができる。すると、サボリージャ州におけるロシア軍は二分化されて弱体化するので、ウクライナ軍はサボリージャ州の領土を一気に奪還することができる。
また、ウクライナのクリミア半島へのミサイル攻撃は激化している。イギリスから供与された巡航ミサイル、「ストームシャドウ」はロシア軍の迎撃ミサイルシステムを振り切ることに成功し、ロシア軍のS-400迎撃システム、ドックで修理中だった潜水艦と揚陸艦、そしてセバストポリにある黒海艦隊の司令部を破壊することに成功した。
少なくなっているウクライナ戦争の報道でも、こうした内容が多くなっている。その結果、ウクライナ軍は、時間をかけながらもロシア軍から領土を奪還しつつあるという印象が強くなっている。
●実際に起こっていること
ウクライナ戦争は、「Open Source Intelligence」という手法の適用で、広範囲な情報ソースから戦況をリアルに分析することのできる初めての戦争になった。SNSの「テレグラム」では、ロシアもウクライナも膨大な数のアカウントがあり、そこから戦闘中の兵士が撮影した動画を配信している。分析者は、ロシア、ウクライナ双方の複数の動画から戦闘が行われた地域を特定し、どちらが戦闘に勝ったのか判断する。また、両軍の損失も見積もる。
今度は、それをロシアとウクライナの公式発表と照合し、発表にどれくらいのバイアスがあるのか判断する。そして、こうした地道な作業をすべての戦闘地域で行い、それを民間の衛星で提供される画像で確認して、詳しい地図に反映する。
これが「Open Source Intelligence」の手法だが、この手法でリアルな戦況を提供している分析者が結構いる。軍事専門家や退役した軍の高官もいるが、そうした背景を持たないITエンジニアのような人々もいる。興味深いことに、細部の評価には若干の違いはあるものの、分析者の思想的な志向にかかわらず、大筋ではどの分析者も同じ結論にたどり着く。こうした戦況の分析は、ロシア嫌悪の強いバイアスがかかっている西側主要メディアの情報よりも、はるかに精度が高い。
こうした分析結果を総合すると、次のような状況であることが分かる
・激戦地、サボリージャ州、「ロボティネ」の状況
主要メディアが報道している通り、「ロボティネ」ではウクライナ軍がロシア軍の三重の防衛線の3つ目まで突破している。しかしこれは、小規模のウクライナ軍の歩兵が突破したに過ぎない。戦闘車両は突破できていない。戦闘車両は最初の防衛線の地雷源で動きが取れなくなり、それにロシア軍のドローンが上空から攻撃している。これでほとんどがやられている。
この結果ウクライナ軍は、30人程度の小規模の歩兵部隊を編成し、それらが徒歩で防衛線を突破している。しかしながら、突破に成功しても、防衛線の内側にいるロシア兵に狙い撃ちされ、膨大な数の死傷者が出ている。ウクライナ軍は、30人の部隊がやられると次の30人を送り込むというような戦い方をしている。その結果、「ロボティネ」だけでウクライナ軍の死傷者は毎日300人程度になっている。
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