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『 田中優の未来レポート 』
第292号/2023.9.30
http://www.mag2.com/m/0001363131.html
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「二酸化炭素による地球温暖化」を信じなくなった今、何を懸念するのか
二酸化炭素による地球温暖化を信じられなくなった今、何を懸念するか。何も懸念するものなどないという状態が最も望ましいが、残念ながら次の順位で懸念していた危機があり、その順位が繰り上がるだけのことだ。残念ながら他の懸念はなくなりそうもない。気候変動の問題は、地球温暖化は「二酸化炭素によって起こる」心配はほぼなくなったが、「地球の気候の問題」としてはむしろ「寒冷期」、いわゆる「氷河期」に再び入ることの方が、時代的にむしろ身近だろう。
添付した図1は地球の気温変化と酸素18の海底に堆積した有孔虫の化石の中に含まれた量を対比したものだ。 海水中の温度が低いと重い酸素18の比率が高くなって堆積し、堆積した年代の海水温度が推定できる。
図1
まず第一に明白なのは、地球の温度と二酸化炭素の濃度が一致していないということだ。
以下の(図4を見てほしい)。
そして図4のグラフが5億年前からしか載っていないのにも意味がある。陸上に生物が進出したのはその頃からで、その前は樹木の年輪で知ることもできないからだ。それ以前の気温を知るためには、もっと同時代に生きていた生物の化石から見ていくしかない。
陸上に土と植物が上陸したのは約5億年前からだが、それ以前には陸上に進出したものはおらず、海中に暮らしていた。その頃の海中には有孔虫は住んでいた。アメーバ様原生生物で、先カンブリア時代と呼ばれる5億7千万年前 に誕生したといわれ、これらを分析し、当時の酸素18の酸素16(通常の酸素)に対する比率から、当時の海水中の水温を推定することができる。水温が低いほど酸素18が多く取り込まれることがわかっているからだ(図2)。
図2
生きている時に有孔虫に取り込まれた酸素18を調べることで当時の海水温を推定することができるのだ(図3)。
この図2の解説中に、「ミランコビッチサイクル」という言葉が出てくるのでそれも説明しておくと、以下の通り。
ミランコビッチ氏は
「セルビア人で土木工学者から地球物理学者に転身したミランコビッチが1910年代から40年代はじめにかけて提唱した、地球気候の長期的な変化が天文学的な要因によるとする氏の仮説。ミランコビッチは、地球の公転軌道の離心率の周期的変化(約10万年周期)、自転軸の傾きの周期変化(約4万年周期)、及び自転軸の歳差運動(約2.6万年周期)の三つの要素の影響が合わさって、地球の高緯度帯に入射する日射量が変動し、地球の氷河期が始まったり終わったりするきっかけとなると考えた。彼は実際には、北半球の北緯65度の夏の日射量を1年かけて手計算で導き出した。
この仮説はミランコビッチが亡くなる1958年までに日の目を見ることはなかったが、直近の氷河期における気候の記録を広範に調査するCLIMAP(Climate: Long range Investigation, Mapping, and Prediction)プロジェクトの古海洋データを解析したアメリカのヘイズ、インブリー、シャクルトンが1976年にサイエンス誌に発表した論文で根拠となる証拠を発見し、その基本的考え方が広く受け入れられた。
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