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ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)2023年10月1日(日)号

ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------  「銅」争奪戦再び 一体なぜ? 銅山開発 環境破壊の負の歴史も 「資源の呪い」 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------  近年、銅の需要が急増している。脱炭素社会のへの実現に向け、各国が普及を進める再生可能エネルギーや電気自動車などの技術に、銅は使われているためだ。  銅は、電気を通しやすく、さびにくく丈夫で、加工やしやすいのも要因に。それだけでなく、そもそもスマートフォンやパソコンなどに用いられる基盤には、銅が使用されてきた。  アメリカ・ワシントンに拠点を置く国際銅協会によると、現在、世界で使用されている銅は毎年、2500万トンほど。それが、2050年には5000万トンほど必要になるという。  さらに脱炭素に向けた需要を合わせると、計5700万トン必要になってくるとも。  一方、市場調査会社S&Pグローバルの報告書によると、現在の銅の算出量のペースでは、2030年ごろから需要が追いつかないとも。  銅の価格も急騰している。980~2000年代前半までは1トンあたり1500ドル~2000ドル程度だったものが、中国の急速な経済発展と世界のIT化により、需要が急増。  さらに、そこに脱炭素社会に向けた需要も重なり、2020年以降は1トンあたり6000~9000ドルと、2倍~6倍にもなった。 「ここをもう一度掘るんだ。鉱山で働けばマクドナルドの給料の3倍になる。とてもうれしいね」(1)   カナダ北部にあるケベック州シブーガモで銅を採掘するスタートアップ企業「ドレ・カッパー・マイン」の現地責任者は、鉱山一体を案内しながら、そう話した。  あたりは、地下をドリルで掘った跡が無数にあり、銅鉱石がいたるところに転がっている。  この場所は、約50年間、別の会社が銅を採掘していた場所だ。しかし2008年に閉山。だか、ドレ社は2017年に買い取り、再開発することなった。同社の社長は、 「カナダやアメリカでは、過去の銅山を再開発しようとするプロジェクトが他にもある」(2) と説明。同社は2026年に年間2万3000トンの銅の生産を目指すといい、日本を含む世界中に輸出するという。 目次 ・銅とは ・争奪戦、再び  ・銅山開発 環境破壊の負の歴史も 「資源の呪い」再び ・銅とは  銅と聞いて、真っ先に浮かぶのは10円玉ではないのだろうか。しかし銅を使っている硬貨はほかにもある。5円、50円、100円、500円玉硬貨にも銅が使用されている。  銅には優れた抗菌効果があるために硬貨に使われている、と説明する書籍もあるものの、しかし造幣局の広報によるとはっきりした理由は不明であるという(3)。  他方で、大量に製造するために安定して供給できる金属であり、また加工しやいといった銅の特性により硬貨に利用されていることは間違いない。加えて担当者は朝日新聞の取材に対し、 「銅は古くから身近な金属で、和同開珎などの古銭にも青銅のものが多い。受け入れやすさがあったのかも知れません」(4) と答えた。  ところで、最近の銅の価格高騰は、硬貨の製造には影響はないのだろうか。硬貨は重さがはっきりしていて、銅の成分表も公表されている。それらの計算をもとに、 「材料価格が額面に迫る」

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  • 日々流れるニュースを、様々な視点から分かりやすく解説するニュースサイト「ジャーナリスト 伊東 森の新しい社会をデザインする The Middle News Journal」のニュースレター有料版です。 いまだ私たちに伝えられてこないマスコミの情報は、残念ながら存在します。 「そもそも?」「Why?」を大事に、マスコミの情報を再編集し、様々な視点や確度から執筆していきます。 その「水先案内人」として、私の仕事が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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