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佐々木俊尚の未来地図レポート 2023.10.2 Vol.775
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【今週のコンテンツ】
特集
スマホの「次」のUIがロボットとのコミュニケーションになる可能性
〜〜〜ロボットと宗教とテクノロジーのあいだに(1)
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
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■特集
スマホの「次」のUIがロボットとのコミュニケーションになる可能性
〜〜〜ロボットと宗教とテクノロジーのあいだに(1)
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ロボットクリエイターの高橋智隆さんと対談しました。対談そのものは近くプレジデント社から配信されると思うのでそちらを観ていただければと思うのですが、非常に興味深いと思ったのが、「スマホの次はロボットになるかも」という高橋さんのお話。
★ロボホン
https://robohon.com/
高橋さんが開発された小型ロボット「ロボホン」は、「モバイル型ロボット電話」という呼び方もあるように、スマートフォンを内蔵しています。言い換えれば、スマホに顔と手足を取り付けて、スマホが踊ったり歩いたり、しゃべったりできるようにしているのです。
★メタバースとChatGPTの交差点が見えてきている|佐々木俊尚
https://comemo.nikkei.com/n/ncb56e4bd1b43
日経COMEMOに投稿した先日の記事で書いているのですが、PCからスマホへと継承されてきたアイコンをマウスでクリックもしくは指でタップするUIは、VRヘッドマウントディスプレイや音声による対話型AIの登場によって、より人間的なコミュニケーションへと進化する可能性があります。
「対話型AIとVRヘッドマウントディスプレイというまったく異なるジャンルに見えるふたつのテクノロジーが、UIという一点において合流する未来が見えてきます。つまり対話型AIのなめらかな音声コミュニケーションと、VRヘッドマウントディスプレイでの視線やジェスチャーというボディランゲージ」
「この二つがもし合流していくのであれば、それはまさにわれわれ人間が日々、隣人と交わしているコミュニケーションに他なりません。言葉を交わし、手をひらひらしてバイバイの合図をし、アイキャッチで相手への好意を送る。こういう人類のコミュニケーションが、そのまま人類と機械のコミュニケーションにも使える未来がまもなくやってくるのではないでしょうか」
この記事では書いていないのですが、そういう未来が来るとしたら、コミュニケーションをとる「相手」はいったいどうなるのかというテーマが新たに浮上してくるでしょう。VRは人間と同じ方向を向いている機器で、要するに人間の身体の延長です。わたしたちはVRヘッドマウントディスプレイを相手にボディランゲージをするわけではありません。
また対話型AIはいまはスマホを使って音声でやりとりできますが、「スマホの先」を考えたとき、わたしたちが話す「相手」はいったい誰になるのでしょうか。
ボディランゲージと音声のやりとりを、空中に向かってということでしょうか? わたしはそれでも構わないかなと思っていたのですが、冷静に考えれば、相手がいないのにさかんに喋りジェスチャーするというのは、AirPodsを耳に装着して誰かと電話をしている人を端で見ているような、なんだか滑稽な感じもします。
そこで、スマホの「次」としてのロボットの可能性が浮上してくる。高橋智隆さんは、「スマホの次の時代には、わたしたちはロボットを相手にコミュニケーションし、電子デバイスに指示を出すようになるのではないでしょうか」という趣旨のことを語られていました。これは実に鋭く、可能性のあるご指摘だと感じます。つまりロボットを相手に私たちは音声で語りかけ、ボディランゲージし、それをロボットがカメラとマイクでインプットして、アウトプットをやはり音声とボディランゲージで返してくれるというわけです。
さらに高橋さんのお話で「なるほど!」と思ったのが、わたしが「ロボホンをはじめとして、なぜ高橋さんのロボットは小さいのですか?」と訊ねたことに対する回答。「小さい方が怖い相手にならないし、コミュニケーションの相手としては小型で十分。逆にロボットが大きいと、可能な仕事への期待値が高まりすぎてしまうということもあります」
どういうことかというと、たとえば人間と同じぐらいの大きさで硬質な金属でできたロボットだと、いかにも力強く見える。そうすると重い荷物を持ったり、人間を賊から守ったりできるという期待感が生まれてしまう。でも小さいロボットならそういう期待感は生まれません。逆に「人間の側が守ってあげなければ」という保護欲求さえ生じ得る。
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