2023年 40号 【長尾和宏の痛くない死に方】
長尾和宏です。秋真っ盛りですね! 空が青くて高くて気持ちがいいです。
フーテンになってから僕も、少しウォーキングをするようになりました。
「見上げた空には鱗雲」……僕のオリジナル曲、『あなたが名前を忘れても』の中にも
そんなフレーズを入れました。そう、『コスモスを君に』とともにこちらも秋の歌なんです。
『あなたが名前を忘れても』(作曲・名倉学 作詞・長尾和宏)
↓ ↓ ↓ ↓
https://www.youtube.com/watch?v=AzOCXJQU7Fw
「ああ鱗雲がきれいやな」と僕が言ったら、ある人から「あれは鰯雲ですよ」と言われ
ました。それを聞いていたまた別の人は、「いえいえあれば、鯖雲です」と。
え? イワシ? サバ? それともウロコ? どれが正解なんやろかと思って調べたら、
どうやら同じ状態の雲のことを表しているようですね。
いずれも高度5000~1万5000キロ程度に発生し、小さな氷の結晶が集まってできた
巻積雲(けんせきうん)の俗称でした。巻積雲は雲が薄くて、太陽が透けて通るために、
地面に陰ができないのが特徴なんだとか。
ちなみに、もっともこもことしている羊雲は、だいぶ低くて、高度2000~7000キロ
程度に発生する、高積雲(こうせきうん)の俗称だそうです。
日が透けるから秋の雲は美しい。そんな雲を見上げるのが好き。
往診時代からずっと、行く先々の歩道で、あるいは往診車の中から雲を眺めては、旅立った
患者さんのことに思いを馳せたものでした。特に夕暮れの雲が好きです。死者との距離が
近くなるような気がして。飛行機の窓から眼下に広がる雲の世界を眺めるのも、死者がそこ
に住んでいるような気がして好きです。
というわけで今週も飛行機からたくさんの雲を眺めました。
先週の日曜日夜に福岡に入り、翌日月曜日の福岡地裁へ。HPVワクチン薬害訴訟を傍聴。
ある日突然、青春を奪われた少女たちの声、その日から人生が一変し、娘のために命を
かけるお母さん方……しかし国の理解は遅々として進まない。唇をかみしめる。
僕はこれで、東京・大阪・そして福岡と三つの専門家証人反対尋問を目撃した。
彼女たちのそれまでの生活態度や家庭環境や病歴まで洗い出し、薬害ではなく、「心因性」
と印象付けることに必死なのは、どこも同じであった。
レイプ被害者が法廷の場でそれまでの男性遍歴や恋愛関係を洗い出されるセカンドレイプ
に遭うという話を聞いたことがあるが、これもまったく同じ手法に感じた。
一体、彼女たちが何をしたというのだろうか?
長尾は、コロナワクチン薬害のことはそっちのけで、HPVワクチン薬害の応援に回るのか、
と思われる人もいるかもしれないが、これは、コロナワクチン薬害訴訟とまったくの相似形。
どちらか一方だけのために行動をする、というほうが医者としてはオカシイ、と僕は思う。
傍聴が終わるや否や今度は東京に移動。「長尾チャンネル」でリチャード・コシミズ氏と
対談。実はこれが、リチャード氏との初対面であった。もっとクールで怖い人だと思って
いたが、実際に会うとても気さくで、優しい人だった。
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