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ビジネス知識源プレミアム(水曜刊:660円/月:税込)Vol.1372
<Vol.1372号:増刊:
インフレと金利と、世界の金融危機(1)前編>
2023年9月8日:通貨の大転換に向かっている世界シリーズ
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世界の金融市場を見ると、
◎日経平均、米国ダウ、欧州株(ストック600)は、9月から10月初めは、明確に下落しています。
投資家の不安心理を示すVIX(期待年間変動幅)も、18.5%に上がっています(23年9月は14%付近でした)。
【1995年以降の金利ついての、基礎の知識】
9月から10月の株価下落の原因は、金利の上昇です。金利については、中央銀行が決めていると考えているひとが、圧倒的に多いでしょう。
実は、中央銀行(日銀や米国FRB)は、金利の誘導目標を示すだけです。実際の金利は、債券市場での国債の売買によって、株価のように日々変動しています。金利は一定ではないのです。
ところが債券市場では、個人の参加ほぼゼロであり、金融機関が売買しています。このため知られていないのでしょう。株の売買が価格を決める株式市場は、個人も参加しています。株価の基礎である金利を決める債券市場は、ほぼ金融機関だけの売買市場です。
中央銀行は、金融機関に短期融資するときの「公定歩合の金利(日銀0.1%、米国5.25%~5.50%、ユーロ4.25%)」は決めています。
しかし金融政策が、中央銀行による国債の売買市場への介入になった1995年以降は、公定歩合の比重は下がったのです。
◎1995以降、政府の負債証券である国債は、定期預金に銀行の金利がつく現金に準じる証券になっています。変動している国債の金利は、定期預金の金利に相当します。しかも円やドル国債は、通貨に近い、利付債券と見なされ世界200カ国の銀行の店頭で売買されいるのです。
以上は、1995年の金融ビッグバン(通貨の外為取引と金利の自由化)以降の変化です。日銀やメディアからの説明は、ビッグバンというだけで、金融の自由化の説明はなかった。ビッグバン以降はそれまで同じだった銀行預金の金利も、微妙ではあっても違います。
ビッグバン以降の、世界金融を決めている金利について説明ができる人は、少ないように思っています。ビッグバン以降は、外貨と海外の国債は、制限なく買えます。外銀へのドルの定期預金と米国債を買うことは同じ行為です。国内の銀行でも買うことができます。
(注)初めて米国に行ったとき、まだ資本の規制があって、旅行者はドルに確か5万円くらいしか交換できなかった。コーヒーが1ドル(280円くらい:日本では80円くらい)であり、ファミレスでコーヒーを頼むことも考えていました。本で読んだのですが池田首相と秘書官の宮沢喜一が外交で米国行ったときは、安いドライブインに泊まっていたという(1960年代;1ドル360円)。
◎1995年以降の金融政策は、国債の売買市場に中央銀行が介入して行う、「金利とマネー量の調節」です。
1)金利の上昇は、「国債の売り>国債の買い」です。買いが少ない国債の価格は下がる。既発国債の価格が下がることは金利の上昇であり、インフレや景気を抑制する金融の引き締めになります(現在の米国)。
2)逆に、「国債の売り<国債の買い」になると、売られる国債価格は上がって、金利は下がります。世界の債券市場の全体で、円国債の買いが増えることが、日本の金融緩和であり、景気の刺激策にないります。
日銀が、金融の引き締めと利上げ、または、緩和と利下げをしているように考えられているのは、日銀の、債券市場への売買の介入額が大きいからです。
【株価、証券価格の動きの基底にあるのは、長期金利の上昇】
株価と証券の価格は、金融の引き締めと長期金利の上昇によって、マイナスの影響を受けます。普通の時期なら、「インフレの発生→中央銀行による金融の引き締め→金利の上昇→債券と株価の下落」になるのです。
現在の米国とユーロがこれです。世界の主要国では日銀だけが引き締めをせず、長期金利は1%以下に抑えています。
9月の中央銀行金融政策とは無関係な、インフレ対応の市場の自律的な金利上昇の動きが、
・2024年の3月または6月からの、世界的な金融危機につながっていくか、
・あるいは短期的な波動か、本稿では、これを検討します。
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