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佐々木俊尚の未来地図レポート 2023.10.9 Vol.776
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http://www.pressa.jp/
【今週のコンテンツ】
特集
あらゆる文章をコミュニケーションツールとして捉え直す
〜〜〜SNS時代の「日本語の作文技術」について考える(第9回)
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
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■特集
あらゆる文章をコミュニケーションツールとして捉え直す
〜〜〜SNS時代の「日本語の作文技術」について考える(第9回)
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現代の文章力とは、名文や美文を書く能力ではありません。現代の文章は、小説のように広く多くの人に読んでもらうためのものではなく、特定少数の人たちとのコミュニケーションのためのツールなのです。ときには上司や部下、取引先などビジネスの相手とのコミュニケーションだったり、ときには家族や恋人、友人とのメッセンジャーでのやりとりだったり、ときにはSNSでフォローしてくれている人たちとのコミュニケーションだったり。
言い換えれば、SNSが普及した現代は、あらゆるものがコミュニケーションに吸い込まれて言っている時代とも言えるでしょう。
写真が典型的です。インターネットが広まる以前、デジカメもまだなかったころは、写真は過去を記録するためのものでした。アナログなフィルムカメラでは、写真のコストは安くはありませんでした。フィルムや現像焼き付けの価格は高く、保存するのにも場所が必要だったのです。しかしデジタルカメラが普及し、さらにスマートフォンによって写真を撮影するという行為がきわめて日常的になり、消費者から見れば写真という記録のコストは限りなくゼロに近づきました。
この結果、記録ということの意味が希薄になっています。いつでもすぐにスマホで撮影できるし、自分が撮影しなくてもまわりにいるだれかが撮っている。SNSを漁れば、同じ場所で同じ時間に撮られた写真を見つけることだってできます。だから「これは記録しなきゃ!」というモチベーションそのものが下がっている。
では記録や保存のためではないのであれば、なぜ私たちは写真を撮るのでしょうか?
★Snapchatで「写真を撮ってシェアする」ことで、私たちは本当は何をしているのか?
https://www.fuze.dj/2017/02/what_we_do_with_snapchat.html
日本ではさほど盛り上がっていませんが、アメリカではインスタグラムと並んで人気があるとされるスナップチャットという写真SNSがあります。上記は古い記事になりますが、創業者のエヴァン・スピーゲルが写真の意味について語った内容が紹介されています。
「歴史的には、写真は非常に重要な記録を残すために撮られてきた。今日では、スマートフォンについているアプリによる『(インターネットに)つながっているカメラ』のおかげで、写真は人と"会話"をするために撮られている」
「なので、子どもたちが何百枚もの写真を撮っている場面に出くわしたら、しかもあなた自身は写真になんか撮らないだろうと思うようなものを撮ってるとしたら、それは彼らが写真を使って他のユーザーと"会話"をしているからだ」
コミュニケーションのための写真、ということなのです。しかも2010年代以降にスマホとSNSが合体したことで、写真はつねにリアルタイムなものとなりました。2010年以前はデジカメで撮影し、それをパソコンに取り込んでSNSにアップロードするという面倒な作業が必要だったので、SNSでシェアされる写真はつねに過去の記録だったのです。
しかしスマホの普及で、写真はつねにリアルタイムでSNSでシェアされるようになりました。
「スマートフォンが『その瞬間に表現する(instant expression)』というアイデアを強化した。それは今現在アナタがどこにいて、何を感じているか、をその瞬間にシェアするというものだ。これはアイデンティティと結びつくので非常に重要だ。というのも、アイデンティティはソーシャルメディアの核となっているものの一つだからだ」
「『ためていく』という考えの下ではアイデンティティとは『私がこれまでしたすべてのこと』によって形成されていたが、『その瞬間に表現する』というアイデアはその定義を『私が今この瞬間に誰であるか』へと変えてしまった」
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