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週刊金融日記 第595号 5分でわかるガザ地区を統治するハマスのイスラエル奇襲作戦、深センの電気街に行ってきました

藤沢数希メールマガジン「週刊金融日記」
// 週刊金融日記 // 2023年10月9日 第595号 // 読めば5分でわかるガザ地区を統治するハマスのイスラエル奇襲作戦の背景と今後の戦争の展望 // イスラエルで戦争がはじまった // 深センの電気街である華強北に行ってきました // 大久保公園の立ちんぼはなぜ逮捕されたのか // 他  こんにちは。藤沢数希です。  香港は本日は台風が来ていて、僕は家に籠もって、このメルマガ原稿を書いていました。香港国際空港には、次から次に飛行機が到着するんですが、バスや電車が止まっており、空港内に人がどんどん溜まって、大変なようですね。 ●Typhoon Koinu strands hundreds at Hong Kong airport as storm pummels city with gale-force winds, injuring 22 https://www.scmp.com/news/hong-kong/health-environment/article/3237198/typhoon-koinu-hong-kong-issues-t8-signal-suspends-flights-some-public-transport-and-closes-schools  週末にXの僕のTLを見ていたら、イスラエルが攻撃されている様子が流れてきて、あれよあれよという間に、また、戦争がはじまってしまいました。 ★ガザ地区を統治するハマスは、イスラエル正規軍と比べて圧倒的に劣勢な軍備ですが、数千発のミサイル攻撃と共に、陸海空からイスラエル領域に戦闘員を侵入させ、大規模な奇襲攻撃を成功させました。イスラエル政府はすぐさま報復に動き、瞬く間に戦争状態に突入です。 https://twitter.com/kazu_fujisawa/status/1710573488782893183  今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。 - インボイス制度とは何かとなぜ揉めているかをご教示ください - 新NISAで「貯蓄から投資」になると米国株の方が人気でドルを買うために円が売られるのでは - 大久保公園の立ちんぼが逮捕されたのはどういう罪状ですか  それでは今週もよろしくお願いします。 1.読めば5分でわかるガザ地区を統治するハマスのイスラエル奇襲作戦の背景と今後の戦争の展望  僕は諸事情でイスラエルは割と身近な国です。というのも、イスラエルって物理学の研究と金融産業でめちゃくちゃ強いんですわ。僕は最初は物理の研究者をしていて、そのあとずっと金融業で働いていましたから、イスラエル出身の人とは何かと接点がありました。PhDを取った後、外資系金融機関からいいオファーがもらえなかったら研究者を続けようと思っていて、その時に、オファーをもらえそうで、行こうとしていたのがアメリカの国立研究所で、そこの物理シミュレーションのラボのボスがイスラエル人でした。イスラエルは兵役がありますから、実際にイスラエル軍で銃を持って戦線に出ていた人でした。その人は気性が荒いらしく、あそこは行かないほうがいい、と共同研究していた人に忠告されましたが、僕は面白そうじゃん!と思っていました。証券会社からいいオファーがもらえなかったら、イスラエル軍上がりの物理学者のところで、研究を続けていたかもしれません。  また、『ヴェニスの商人』を持ち出すまでもなく、昔は金融業は売春業などと同様に差別される産業だったので、歴史的にユダヤ人たちが担っていて、そして、力を持っていました。いまでも、世界的な金融機関で働いている人は、ユダヤ系が多いように思います。実際に僕が証券会社で働いていた時も、イスラエル人の同僚はけっこういましたし、ユダヤ教の帽子=キッパーをかぶっている人も海外のオフィスではよく見かけました。  先日、マンハッタン計画のリーダーだった物理学者のオッペンハイマーの映画を見ましたが(なぜか日本では上映されていません)、オッペンハイマー自身がまずユダヤ系です。当時、ナチスのドイツがユダヤ人の絶滅政策を行っていたので、欧州からアメリカに逃げてきた優秀なユダヤ系の科学者たちが、アメリカで原子爆弾を作るプロジェクトに加わりました。 ●映画『オッペンハイマー』 https://eiga.com/movie/99887/  このようにユダヤ人たちは、現代社会にとって極めて重要な軍事と科学と金融の世界で活躍しております。さらに、最近はIT分野で強いです。ユダヤ教の宗教的信念と、遺伝的な優秀さや教育熱心な文化が彼らの強みだと思うのですが、その強さゆえに、他の民族からは脅威と見なされ、歴史的に迫害されてきたのかもしれません。  祖国を追われ、世界に離散し、科学や金融という重要な分野で活躍していたユダヤ人たちが、悲願の自らの国を再び作ろう、と中東のパレスチナの地で、1948年にイスラエル独立宣言をして、イスラエルという国ができました。パレスチナの地にあるエルサレムには、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、それぞれの聖地があります。こうして、とうとうユダヤ人の国ができたのです!  めだたし、めでたし。  いまのイスラエルがどういう国かというと、2.2万平方キロメートル(日本の四国程度)のところに、約950万人が暮らしています。ユダヤ人(約74%)、アラブ人(約21%)、その他(約5%)、という民族構成です。一人当たりGDPは約5.5万USD(約800万円)で日本人よりだいぶ金持ちです。さらに出生率は約3.0で、先進国の中でこれほど高いのはイスラエルだけです。人口ピラミッドも非常に若いです。  面白いのがヘブライ語という言語で、旧約聖書なんかがヘブライ語で書かれていたのですが、この古典語は口語としては滅亡したのですが、なんと19世紀末ぐらいにユダヤ文化復興運動の中で、再び口語として復活を遂げました。一度滅亡したのに復活した唯一の言語であり、これがイスラエルの公用語です。イスラエルは移民の国ですので、多くの国民が英語も話しますし、大学教育は英語とヘブライ語で行われますが、このヘブライ語がイスラエル人たちの第一言語なのです。 ●出生率3.0 イスラエルから少子化日本が学べることはあるか https://www.asahi.com/articles/ASR5T7K0ZR5MUHBI02N.html  イスラエルは優秀なユダヤ人の国ですから(アラブ人も住んでいますし移民も多いです)、国民の教育水準も高く、さらに起業家精神も旺盛で、なんと米ナスダックに上場している企業の国籍は、当然のアメリカと2位の中国に次いで3位です。米Intelや米Microsoftの重要な開発拠点もイスラエルにあります。軍事産業が盛んで、ミサイルを迎撃するシステムは、アメリカをも凌ぐと言われています。先日も、ロシア情勢の緊迫化で、ドイツ政府がイスラエルのミサイル防衛システムである「アイアンドーム」を購入する計画があるというニュースが報じられていました。 ●独、ミサイル防衛システムの購入検討=首相 https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-germany-shield-idJPKCN2LO0LBhttps://twitter.com/kazu_fujisawa/status/1662028938418483200/photo/1?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1662028938418483200%7Ctwgr%5E7f990edd6dd4a7ca8ba0a70293e3b463e153109c%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.com%2Fkazu_fujisawa%2Fn%2Fn624d556bdf82  日本にいると、今回の戦争みたいな、テロとかミサイルで報復とかそういうニュースしか入ってきませんから、イスラエルってどんだけ危険で大変な中東の国かと思っている方が多いかもしれませんが、このように豊かで、教育水準が高く、科学技術が発展している国です。徴兵制度があり、また、男女平等なので女性も徴兵され、休日には、強力な銃器を携帯した女性が、ふつうに私服で街を歩いています。 ★イスラエル軍の女性の兵士が降伏したハマスの戦闘員に銃口を向け、服を脱ぐように命令している様子です。 https://twitter.com/kazu_fujisawa/status/1711005460231545258  実際のところ、イスラエルの治安は大変に良くて、アメリカなんかでふつうに暮らすよりははるかに安全です。日本よりは治安は悪いでしょうが、欧州の治安のいい先進国ぐらいですね。だって、テロとかで死ぬ人なんて、特にイスラエル絡みは、ニュース価値が非常に高いですから、何か起こると世界中で報道されますが、人数自体は、交通事故なんかと比べて遥かに少ないですからね。コロナで死んだ人なんかに比べたら、ゼロの数が3つも4つも違うでしょう。また、ガザ地区とのボーダー付近など、こうしたテロが起こるところは限られており、イスラエルのほとんどの場所はなおさら安全です。  さて、このようにイスラエルは、かなり上手くいっている先進国で、金持ちで、安全で、出生率も高いのですが、問題がないわけではありません。ふつうに考えればわかると思いますが、ユダヤ人が、中東に勝手に国を作ったら、元々パレスチナの地に住んでいた人たちや、こういうことを快く思っていない周辺のイスラム教のアラブ諸国がどう思うか、と。もちろん、とてつもなく大変なことになるわけです。

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