【移動販売】
「え〜、と言うわけで、会社の都合により派遣社員の方には大変申し訳ございませんが、来月より経費削減のため残業ができなくなりました。ですから契約内容に関係なく退社したい方は無条件で許可しますので、申請してください。定時でも構わないという方は、ぜひ残って欲しいと思います。」
山梨にきてちょうど一年目だった。
会社の経営不振により、派遣社員の残業が無くなったのである。
残業をする事でそこそこの給料をもらっていたみつおにとって、残業がなくなると全く稼げない職場になったのであった。
みつおはすかさずに転職を選んだ。
求人情報をみて次の仕事を探していた。
「お〜、これ凄いな何だろ?」
目に止まったのは、「70万円以上可能」という文字だった。
それは、牛乳の移動販売の仕事だった。
平均月収40万円、70万円以上可能と書かれていたので、すぐに面接を申し込んだ。
次の日曜日に地図を調べてその事務所に面接に行った。
そして、一通り人並みな面接をした後にその所長が言った言葉に強烈に刺激されてしまった。
「うちは、稼ぎたいならいくらでも稼げますよ、ただし、40万円そこそこの給料で満足するような人はいらないんだすよね。
正直に言いますが、シャレにならないくらいハードな仕事です。
稼ごうと思えばいくらでも稼げるし、実際に今月で一番かせいだ班長は、80万円の手取りを受け取っています、
でも、これだけは言っておきます。
それなりの覚悟がないなら、やめてください。サラリーマンやっている方がよっぽど楽だと思いますので、腹を決めたらいつでも受け入れますので、その時にまたお会いしましょう」
通常は、簡単ですよと誘い込んでいざ仕事をしてみるとキツイという職場はあるが、これほどハッキリと難しいしキツイからそれでもやりたいならきてくださいというのは、逆に信憑性を感じたのだった。
みつおは迷う事なくその会社に就職してすることにした。
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