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第234号 ハマスの真実/ジャニーズ事務所の光と闇と、あと関所/赤い羽根/マブチの水中モーター物語

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  • 2023/10/11
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「ハマスの真実」 現在のロシアによるウクライナへの軍事侵攻について報じる日本のマスコミの、あまりにも偏向的なテレビニュースや新聞記事から気づいた人も多いと思いますが、日本のマスコミが報じている内容は、ザックリ言って世界で起こっていることの半分だけ、西側諸国から見た西側諸国の立場での報道だけです。 たとえば北朝鮮、日本のマスコミが報じる内容だけを鵜呑みにしている人たちは、北朝鮮が世界の国々から完全に浮いている「ならず者国家」だと思っている人が大半だと思います。しかし実際には、北朝鮮は30年以上も前から国連に加盟している正式な国家ですし、中国を筆頭にロシア、ブラジル、インド、ドイツ、パキスタン、タイ、フィリピン、コスタリカを始めとした国々と、普通に貿易をしている普通の国家なのです。 北朝鮮の拉致問題を支持率稼ぎに利用して来た安倍政権を始めとした自民党政権は、選挙が近づくたびに「国際社会と連携して拉致被害者を取り戻す」などと「絵に描いた餅」を連呼し、唯一の対抗策として「北朝鮮への経済制裁」を掲げて「やってる感」をアピールして来ました。しかし、日本が貿易を規制したところで、日本以外の多くの国々と普通に貿易している北朝鮮にとっては、何の制裁にもなりませんし、痛くも痒くもないのです。 ロシアによるウクライナ侵攻にしても、日本のマスコミは西側諸国の立場からの報道しかしません。これは、ある意味、戦時下の「大本営発表」と五十歩百歩なのです。事実、今、ウクライナが必死にロシアから取り戻そうとしているクリミア半島は、アメリカにもロシアにもイイ顔をしたかった八方美人の安倍晋三が、「親友」と呼んでいたプーチンに上納したあたしたちの税金、数千億円を戦争の資金として、ロシアがウクライナから強奪した土地なのです。 そんな流れから、あたしは、今回のパレスチナのガザ地区のハマスとイスラエルとの大規模な衝突を、西側諸国に属する日本のマスコミがほとんど報じない、パレスチナ側からの視点で伝えたいと思いました。そして、両方の立場からの事実を理解してもらった上で、その問題点を考えてほしいと思いました。 まず、今回の衝突のキッカケを日本の報道レベルで触れると、パレスチナのガザ地区のイスラム系武装勢力、ハマスによる大規模攻撃によって、イスラエルに数百人の犠牲者が出て、イスラエル軍が大規模空爆で報復したことから戦争状態に突入しました。これに対して、西側諸国は次々とイスラエルへの支援を発表し、日本の岸田文雄首相も「ハマスへの批判」を発表しました。 アメリカは最新鋭の空母を現地へ展開し、イスラエルの援護に余念がありません。そして、日本のマスコミはと言えば、「パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム系武装勢力のハマスは‥‥」などと報じまくっています。こんな国内報道だけを見聞きしていたら、「ハマスというテロリスト組織がイスラエルを攻撃して戦争を始めた」と思ってしまいます。でも、事実は大きく違うのです。 あまりにも複雑なので大マカにしか説明できませんが、現在、イスラエルやパレスチナがある地中海に面した地域は、もともとは「パレスチナ」という名前の地域でした。北はレバノンとシリア、東はヨルダン、南はエジプトに囲まれた中東のエリアで、真ん中には、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの宗教で聖地とされるエルサレムがあります。 で、2000年もの長きに渡る迫害によって、世界に散らばってしまったユダヤ人たちが、自分たちの国を造るために、ユダヤ教の聖地であるこの地域に集まり、1948年に造ったのが「イスラエル」という国でした。でも、この地には、もともと約70万人のパレスチナ人が住んでいたのです。世界から集まって来たユダヤ人たちが「イスラエル」という国を造ったことで、それまでこの地域に住んでいたパレスチナ人たちは、ヨルダン川西岸とガザ地区という2カ所に追いやられ、イスラエルの占領下に置かれてしまったのです。 つまり、自分たちの奪われた土地を取り戻そうと戦っているのがパレスチナであり、アメリカを後ろ盾にしてパレスチナ人の排除を続けて来たのがイスラエルなのです。でもこれは、そんな単純な話ではありません。そもそも、この地域は、2000年ほど遡ると、もともとはユダヤ人の暮らす土地だったのです。それが迫害や戦争によって追われてしまったのですから、ユダヤ人にしてみれば、自分たちの土地に戻って来ただけであり、そこに住んでいたパレスチナ人は、留守中に無断で自分の家に上がり込んでいた不届き者ということになるわけです。 その上、同じパキスタンの中でもハマスとファタハの勢力争いがあったり、パレスチナ人の地域であるヨルダン川西岸もユダヤ人の入植地になったりと、長年に渡る様々なアレやコレやが複雑に絡み合い、もはや単純に白黒をつけられない状況になっているのです。日本のマスコミが「イスラム系武装勢力」と呼び、まるでイラクのISILなどと同等に扱っているハマスにしても、もともとは2006年1月のパレスチナ選挙で、市民から選ばれて政権を獲得した正式な政府だったのです。 アメリカをバックにつけ、圧倒的な物量作戦で無差別空爆を繰り返し、子どもや女性やお年寄りたちを数えきれないほど虐殺して来たネタニヤフ首相率いるイスラエル軍に対して、自分たちの命を守るためには武装系であるハマスに統治してもらうしかないと、ガザ地区の人たちが選択したのです。しかし、今のロシアとウクライナを見れば分かるように、武力に対して武力で対抗しても状況が好転することはありません。 ちなみに、ハマスがガザ地区を統治してから、イスラエルとの大規模な戦闘は、2006年、2008年、2014年の3回発生していますが、その時の両国の死者数を見てください。 【2006年】 パレスチナの死者 409人 イスラエルの死者 7人 【2008年】 パレスチナの死者 1330人 イスラエルの死者 13人 【2014年】 パレスチナの死者 2143人 イスラエルの死者 72人 これ、どう思いますか?イスラエルはアメリカをバックにつけた物量作戦で、最新鋭のミサイルをガザ地区へジャンジャン撃ち込むことができますが、資金も乏しくインフラまで断たれてしまっているガザ地区は、やっとのことでイスラエルに届く程度のロケット弾を単発で発射することしかできなかったのです。 でも、このままじゃジリ貧で、近い将来、パレスチナ人はイスラエル軍に殲滅されてしまいます。そこでハマスは「最後の聖戦」の準備を始めました。約10年を掛けて、水面下でコツコツをロケット弾を増やし、1000人規模の軍隊を訓練し、徹底的な情報収集で綿密な計画を練り、総攻撃の準備をして来たのです。そして10月7日、ハマスはイスラエルに対して、陸、海、空の一斉攻撃、「アクサーの大洪水作戦」を決行したのです。

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