中田考氏の以前、私に語ってくれたことが本当になっている。
パレスチナの人たちが子どもたちも含めて、無差別に殺されているのに、その残虐な侵略戦争を行うイスラエルに対して、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアが共同声明を発表し、イスラエルへの「揺るぎない結束した支持」を表明した。
ウクライナがロシアに侵略を受けた際に、ウクライナに軍事支援を行い、ロシアに激しい経済制裁を行う国々が、イスラエルが勝手に占拠している土地の住民を殺戮するのに対して全面的な支持を行うという構図だ。
もちろん、これはパレスチナのガザ地区を実効支配しているハマスという軍事組織がミサイルをイスラエルに撃ったことへの報復ということになっている。
ただ、だからといってハマスの基地を見つけ出して(今のイスラエルならこんなことは簡単にできる)それを攻撃するのでなく、ガザ地区の人間を無差別に殺していいわけがない。
もちろんハマスは住民の中に普段は隠れて存在しているのだろうが、軍事組織であり、ミサイル攻撃もしているのだから、基地はあるはずだ。
日本人は東京大空襲や広島、長崎の原爆投下も仕方ないことのように受け止めているが、その当時でも市民の無差別爆撃は国際法違反だ。今も、市民を巻き添えにする爆撃は国際法違反だ。
テロ組織のハマスだって国際法違反に問われないといけないだろうが、彼らの首謀者は捕まれば死刑になるはずだ。しかし、イスラエルはちゃんとした国家なのだから、国際法を守らないといけないのは言うまでもない。
実際、イスラエルは、ガザ地区だけでなく、シリアにも、ミサイルが発射されたという主張をして、シリアの民間空港に攻撃を行っている。
ユダヤ人のモラルはどうなっているのだろうと思ってしまうが、ここで主語をユダヤ人とすると、差別ということで袋叩きにあう。どこのテレビ局もユダヤ人非難はしない。欧米諸国がすぐにイスラエル支援に動くのも、ユダヤ人財界人の影響が大きいのだろうが、そういう話も出ない。
確かに、「ユダヤ人は~~」という括りは差別だ。ドイツでは、一部のユダヤ人の金貸しが、ハイパーインフレの際に金を貸して、返せないドイツ人の家を取り上げたり、妻や娘に売春をさせたりして回収した(これも風説かもしれないが)そうだ。そこで、ドイツ人はユダヤ人全体を恨み、当時は、ユダヤ人排斥を唱えたほうが票になった。それがあの忌まわしい大虐殺につながったのだが、虐殺当時、金貸しをやるような裕福なユダヤ人はみんなアメリカやイギリスに逃げ、殺されたのはまじめに働くユダヤ人だったという。
実際、金持ち相手の精神科をやっているフロイト学派はみんな逃げることに成功し、戦後の精神分析の大流行につながったが、貧乏な人を相手にしていたアドラー学派はほとんど殺されたという。
何度もいうが、ある人が悪いことをしたからといって、その人が属する集団をみんな悪いと断ずるのは差別以外の何物でもない。高齢者が一人事故を起こしたら、高齢者全員から免許を取り上げようとするような差別をするテレビ局が言えた義理かと思う。
欧米諸国だけでなく、日本のテレビ局のイスラエルひいきもひどい。ガザで犠牲になっている子どもを報じる際に、イスラエルの集落と報じていた局もあった。イスラエルが一時占拠していたことがあるが、パレスチナはイスラエルの領土ではない。
そもそも、北朝鮮の核開発には目の色を変えて怒り狂う日本のマスコミが、イスラエルが核武装してもまったく問題視しないのも異常だ。
中田考氏が問題にしてきたのは、イスラエルがパレスチナにしてきたことは、これまでロシアがウクライナにしてきたより、数段ひどいということだ。
領土を勝手に取り、女子供もロシアが殺したウクライナ人の何十倍、何百倍も殺している。
チェチェンではロシア人に20万人も殺されたそうだが、そのときは大して騒ぎにならないし、経済制裁も実質なかった。
要するに、ウクライナ侵攻に対するロシア非難は、アジア人やイスラム教徒なら死んでいいという人種差別であり、宗教差別だと私にも思えてならない。
戦後の歴史で見ても、国際連合というのは、第二次世界大戦後は国境の変更は原則的に認めないということが一番の目的だ。そもそも、国際連合という訳がインチキで、連合国(英語ではUnited Nations)というのは、戦争中も戦後も変わらない。
勝者である連合国が決めた国境は、それ以降、戦争などでの変更を許さないというのが彼らの大原則だ。
もちろん、連合国から独立した国々は、連合国に入れてあげる代わりに、旧宗主国が決めた国境を守ってもらう。部族対立などで国境を変更するのは許さない。
ウクライナの問題にしても、いったんソ連から独立したのだから、国境の変更を許さないということだろう。
そういう意味では、連合国に入っているのが、国民党政府の中華民国だったのが70年代にアメリカや日本が裏切って、中華人民共和国を連合国に入れて、中華民国を追い出したので、理屈の上では今の中国が台湾を侵攻した際に、ルール違反とするのは実は無理がある。
そういう中で、唯一の例外として、国境を越えた侵略戦争を許し、国土以上の土地の実効支配が許されているのがイスラエルだ。
一時期はシナイ半島全域を占領し、東イスラエルとゴラン高原を併合している。
これに対して、国連は建前上、承認はしていない(日本も承認していない)が実効支配は續き、それに対して、何らの制裁も受けていないのだから、黙認と言っていい。
イスラエルという国はいろいろな意味で国連の無力とダブルスタンダードを体現している国だ。
ウクライナに対するロシアと同じように対応してほしいとか、欧米のダブルスタンダードを知らせるために、今回のハマスのイスラエル攻撃が始まったのではないかと私はみているが、穿ちすぎだろうか?
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)