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経世論研究所 所長の三橋貴明の
日本経済のボトルネックを取り去る国家コンサルティング VOL.754
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☆☆☆☆☆☆ 日本経済は輸出依存である ☆☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆☆ 円高で日本経済は破綻する ☆☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆☆ 日本政府は財政破綻する ☆☆☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆☆ 日本の内需は絶望的である ☆☆☆☆☆☆
日本の新聞・テレビなどのマスメディアでは、上記のフレーズがあたかも「常
識」のように使われている。しかし、実際に数値データを調べてみると、上記フ
レーズは全て根拠が全くない「嘘」であることが判明する。嘘のフレーズが、ま
るで湿気を帯びた空気のようにまとわりつき、日本経済成長の「ボトルネック」
と化しているのが現実なのだ。
本メルマガでは、正しい数値データに基づき各種の「嘘の常識」を暴き、ボトル
ネックを取り去ることで、日本経済が着実な成長路線を進めるようコンサルティ
ングを提供する。 三橋貴明
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-付加価値と消費税の関係を考える-
日本の消費税は、実際には「消費」税ではない。そもそも、消費税法で、
『(課税の対象)第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等(略)及び
特定仕入れ(略)には、この法律により、消費税を課する。』
と、定められている。
消費税は「消費」ではなく、資産の譲渡、特定仕入に課せられる税なのだ。
ちなみに「特定仕入」とは「事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等」を
意味するため、要するに仕入だ。消費税とは消費ではなく、資産の「取引」に課
せられる税金なのである。
国税庁は、消費税の計算について、
◆消費税の納付税額=課税期間中の課税売上げに係る消費税額−課税期間中の課
税仕入れ等に係る消費税額
と、説明している。
「課税売上=課税仕入+非課税仕入+利益」
だ。
つまりは、
◆消費税の納付税額=(非課税仕入+利益)÷110*10
となる。
上記の構造により、事業者は非課税売上と利益を少なくすればするほど、消費税
額が減る。
もっとも、特に株主資本主義の時代には、利益を減らすことは難しい。となれば、
非課税仕入を減らすしかない。
非課税仕入の多くは人件費だ。つまりは、消費税の導入や増税は「人件費」を減
らすインセンティブを事業者に与えてしまう。
具体的には、非課税仕入だった「正規雇用」を「外注」に切り替えれば、非課税
仕入が減る(課税仕入が増える)。日本で非正規雇用や業務委託契約が増えたの
は、消費税が主因の一つなのだ。
ここで、不価値税とは事業者間の「押し付け合い」であることを理解しなければ
ならない。
【GDPは付加価値の積み上げである】
http://mtdata.jp/fukakachi.jpg
A社が仕入ゼロ(実際にはあり得ないが)で財を生産し、B社に100円で販売
した。
B社が付加価値(200円)を乗せ、C社に300円で販売。
C者が付加価値(300円)を乗せ、消費者に600円で販売。支出面のGDP
は600円(生産面も、所得面も同額)。
この状況で、政府が「消費税(厳密には付加価値税)10%」を導入した。
その場合、A社はB社への販売価格を、110円とすることができるのだろうか。
それは、A社とB社の「力関係」による。
A社がB社の圧力により、売価(100円)を変えられなかった場合、A社負担
の消費税は、
◆A社消費税納税額=(課税売上(100円)-課税仕入(0))÷110*10
というわけで、9.1円となる。
A社は、別に売り上げが増えたわけではないにも関わらず、政府に9.1円の消
費税を支払わなければならなくなるわけだ。利益は、100円から90.9円に
下落する。
付加価値の積み上げを理解すると分かるが、消費税導入(あるいは増税)は、力
関係が弱い業者に「付加価値=利益(所得)」の減少を強いることになるのだ。
消費税導入を受け、B社がC社への販売価格を、300円から330円に値上げ
した。
その場合、C社がコストアップ分を飲み込むと、消費税の支払いは、
◆C社消費税納税額=(課税売上(600円)-課税仕入(330)÷110*
10
で、24円となる。利益は、それまでの300円から、276円に下落する。
また、C社が消費者への販売価格を660円に値上げすると、
◆C社消費税納税額=(課税売上(660円)-課税仕入(330)÷110*
10
で、30円。利益は、それまでの300円と変わらない。
つまりは、消費税導入・増税とは、バリューチェーンの各段階に課せられる税で
あり、「消費者が負担する」と限った税金ではないのだ。
バリューチェーンの最上流(A社)から最下流(消費者)までの各段階で、それ
ぞれが、
「消費税分のコストを取引相手に押し付ける競争を強いられる」
税金なのである。
無論、最終価格(上図ではC社の販売価格)に上乗せされるケースもあるが、
そうではないケースもある。
つまりは、誰が消費税を負担するかが「決められていない税金」なのである。
誰が負担するのか、「民間が力関係により、決定せよ」と、バリューチェン(消
費者含む)が競争を強いられるのが消費税という税金なのである。
上記を理解すると、財務省が主導するプロパガンダ「消費税は消費者からの預か
り金」というレトリックが、どれほど的外れであるかが分かるはずだ。
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■マガジン名 週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~
経世論研究所 所長の三橋貴明の
日本経済のボトルネックを取り去る国家コンサルティング
■発行者 三橋貴明
■所属 株式会社経世論研究所
http://keiseiron-kenkyujo.jp/
■ブログ
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/
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