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vol.198:中国ECの過剰な消費者保護施策。消費者を守ることがECを成長させた

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
  • 2023/10/16
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 198 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。 今回は、中国ECの消費者保護についてご紹介します。 中国ではなぜECが発達をしたのかという問いで、最初に上がってくる答えが、「中国はオフライン小売が未発達だから」というものがあります。これは実際に大きな理由になっていると思います。 北京や上海の大都市では、もはや東京や大阪と変わらないほど、買い物の利便性は高まっていますが、中国全体を見れば、それは例外中の例外です。多くの「鎮」と呼ばれる農村の中にある町では、雑貨屋が1軒しかないというようなところもまだまだたくさんあります。買い物をするには、遠くの街までいかなければなりませんし、そこでも商品の選択肢は多くありません。 それがECであれば、大都市並みの買い物ができるようになるのですから、普及をするのも当然です。 もうひとつ大きな理由が手厚い消費者保護です。多くの方が意外に思うと思いますが、中国は消費者保護の点では日本よりも手厚くなっています。ECでは、特定の商品を除いて、ほぼすべての商品が「7日間無理由返品」ができることが法律で定められています。不具合、誇大広告だけでなく、「やっぱり気が変わった」という消費者の都合でも返品ができるのです。 この手厚さがECの利用を促したことは間違いありません。さらに、激安ソーシャルEC「ピンドードー」は、「返金のみ」制度の導入を始めています。これは申請すればすぐに返金され、商品は送り返さなくてよく、自分で処分すればいいというものです。あまりに消費者に有利な仕組みだとして、販売業者たちは反発をし、ピンドードーではさまざまな騒動が起きています。 しかし、このような手厚い保護がECを成長させ、また同時に悪質な販売業者を淘汰していくことになり、「低価格」「標準品質」「手厚い消費者保護」という中国ECの特徴を形づくっていくことになりました。 今回は、中国ECの消費者保護施策についてご紹介します。 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 198 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼目次▼ 中国ECの過剰な消費者保護施策。消費者を守ることがECを成長させた 小米物語その117 今週の「中華IT最新事情」 次号以降の予定 Q&Aコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 中国ECの過剰な消費者保護施策。 消費者を守ることがECを成長させた ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、中国ECの消費者保護施策についてご紹介します。 中国の観光業が苦しんでいます。10月の国慶節の連休の国内旅行の人手は、8.26億人で、昨年同時期から71.3%増となりました。ものすごい増加ぶりですが、コロナ前の同時期と比較するとわずか4.1%増にとどまり、回復はしたものの期待したほど消費の起爆剤にはならないと、喜びと失望が半ばする状況になりました。 中国の報道では、どこの観光地も限度を超えた混雑の映像が多用されましたが、実際には人気の観光地と不人気の観光地の格差が広がっているようです。また、関係者が口を揃えるのが節約志向です。旅行に行っても、不要なお土産は買わないし、料理も観光客向けの価格が高いものには見向きもせず、事前によく調べて、安くて美味しい店に人が集まっているということです。 さらに、壊滅的なのが中国のインバウンド旅行です。ビザ免除制度を停止をしていたために、中国に行く観光客がほぼゼロに近い状態が続いていました。一方、中国のアウトバンド旅行も低調で、関係者は落胆をしています。一部報道では、2000万人が海外に行くという数字が上がっていましたが、国際線の便数がコロナ前と比べてまだまだ少なく、価格も高いため、そこまで大きな数字になっていないと感じているそうです(いずれ統計情報が発表になるので、そこでまた詳しくお伝えします)。 特に、海洋放出の件で日本、強盗事件でタイの人気にストップがかかったことが痛かったようです。コロナ前は、海外旅行の人気先として1位と2位だったわけですから、そこに問題が発生して行きづらい空気感が生まれた影響は小さくなかったようです。 おそらく旅行関係者からの陳情もあったのだと思います。国家移民管理局は、ビザ免除制度の再開を発表しました。 https://www.nia.gov.cn/n741440/n741577/c1601850/content.html ▲ビザの免除制度が再開した。日本からは6日間であればビザ不要で観光が可能になった。

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