【挫折】
「おい、お前ら、この調子だと冬を越せんぞ!
夏場とは違い涼しくなってくるとどんどん売れなくなる。それはしょうがないではすまんぞ、これから冬に向けてどうやって売るか工夫せんとただボーッと客を待ってるだけじゃ意味ねーんだよこの商売は!40万円くらい貰って満足してるんじゃ、サラリーマンやった方がマシだろ、サラリーマンでも40万円の給料はもらえるんだからよ!」
その日の朝礼で社長は荒れていた。
10月に入ると、沖縄とは違い山梨は急に涼しくなってきた。
長野に行くと、肌寒くかんじたものである。
それに伴い、売り上げも下がってきていた。
夏場は暑いので、アイスクリームやヨーグルト系が売れたのだが、涼しくなるとかなり売り上げも下がっていた。
みつおにとって初めての冬なのでどうやって乗り越えたらいいのか見当もつかなかった。
とにかく少しでも止まるポイントを増やして、コースを変更するしかなかった。
客の少ない所は、二つのポイントの中間地点に止まって一つ減らして、新しいポイントを開拓するしかない。
すると、今まで遠かったから来なかったという新しいお客様も増えてきた。
商品も工夫して、温めて美味しいものや、乾き物を選んで仕入れをしていた。
ここの会社は、社員ではなく委託販売なので自分で仕入れて販売し、賞味期限が切れたら買い取りをしなければならないので、慎重に売れる分だけを仕入れないと損をするのである。
だから、賞味期限の長い物は安心だが賞味期限の短いのは考えて仕入れないと自分が損をするのである。
特に牛乳は一週間の賞味期限があっても、2日過ぎると売り物にならないので、2日で売り切れる量を見極めないと大変なことになるのである。
牛乳の売り上げは段々下がってきていたので、無難な仕入れをし、冬でも売れそうな商品を選んで仕入れるのだが、みんながそれをやると肝心な牛乳が売れなくなるので、半強制的に仕入れないといけないのだった。
一番の売れ筋商品はイクラの醤油漬けだが、それはみんなが欲しがるので、平等に振り分けられた。
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