リチウム電池の欠陥克服
本命・全固体電池の登場
出光は原油副産物を利用
電池リサイクルまで一貫
次世代EV(電気自動車)は、全固体電池がリードすることになった。トヨタ自動車が、出光興産との協業によって実用化の先鞭を切るからだ。現在のEVは、リチウムイオン電池が動力源である。この開発者の一人が、吉野彰博士でノーベル化学賞に輝いた。次世代電池の全固体電池開発でも、トヨタと出光の協業で先鞭を切る。日本の研究土壌が、健在であることを世界へ示した。
トヨタと出光は10月12日、両社の社長が記者会見して全固体電池の量産化に着手すると発表した。出光が、27~28年に年産数百トン程度の規模で全固体電池の基幹部分である電解質(硫化物系)の生産を開始する。これをテコに、数千トン規模へ引き上げるという。硫化物の電解質は、原油精製過程の副産物である。このことから分るように、「低コスト」だ。「無資源国」日本らしい着想が、見事に商品化されたものである。
両社の取組む全固体電池の製造方法が、世界標準になるだろうという自信ものぞかせている。世界全体で2000年から22年3月末までに公開された全固体電池の特許数は、トヨタ自動車が1331件で1位である。2位のパナソニックHD(445件)と3倍もの差をつけている。上位5社中で4社が日本企業である。圧倒的な開発競争力を示している。
トヨタは、1990年代から研究に着手し、20年には全固体を搭載した試作車も他社に先駆けて完成させた。こういう経緯からみると、トヨタと出光の「日本企業連合」が実用化で先陣を切ることは、日本の技術開発力が決して衰えていないことを示している。
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