第285号(2023年10月20日号)
『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』
はじめに:
いつもメルマガをお読みいただきありがとうございます。
さて、今週号の内容ですが、まず【1】の
『無敵の交渉・コミュニケーション術』のコーナーでは、
今週も引き続き【相手の超強気な交渉戦略の破り方】についてお話しします。
これまで4回にわたって【Hardball戦略で交渉やコミュニケーションを図ろうとするタイプへの対処法】
についてお話ししてきました。
相手の真意を引き出す5つの問いのアプローチ。
本心を導き出し、協力する雰囲気を醸成するためのアプローチ。
いろいろと触れてみましたが、早速お試しいただけたでしょうか?
今週号はこのHardball戦略を取る相手への対処法の最終回として
【相手のHardball戦略を正面から指摘する(Naming your counterpart’s Hardball Strategy)】
についてお話しします。
その注目の内容は、本編をお楽しみに♪
次に【2―国際情勢の裏側】ですが、今週もいろいろなことが起きた一週間でした。
一つ目は【激化し出口が見えないイスラエルとハマスの戦い】についてです。
10月7日にハマスがガザ周辺のバリケードを30数か所破壊してイスラエルに雪崩れ込むという攻撃が勃発してから約2週間。
双方の死者数はうなぎ上りに増え続け、ガザ地区では破壊が尽くされた惨状が広がっています。
イスラエルはハマスの壊滅を旗印に、ガザ地区への全面攻撃を計画していますが、
現時点まではガザの一般市民に対する悲劇に対する国際世論の大反発を受け、スタンバイ状態が続いています。
様々な外交努力が行われてはいますが、具体的な状況の打開にはつながらず、
逆により国際社会の分断を印象付けたように思います。
イスラエルが地上部隊を投入し、ガザに再侵攻する事態が起きると、恐らく戦火は拡大し、
世界を巻き込んだ大戦争に至る可能性が高まります。
二つ目は【ミャンマー情勢の劇的な悪化】です。
このところ、国軍と民主派勢力との武力衝突が再度激化し、ミャンマー各地で犠牲者数が大幅に増えています。
しかし、ウクライナ問題とイスラエル・ハマス問題に国際的な関心は流れ、ミャンマーの惨状にはあまり関心が集まらず、
文字通り、忘れ去られた悲劇の一つになってしまっています。
ミャンマーにおいては、国軍側に中国とロシア、民主派勢力側の後ろ盾には米英仏がついているという、
またまた国連安保理常任理事国が真っ二つに割れている状況で、国連による解決・仲介もまた現実的ではありません。
三つ目は【アゼルバイジャンがアルメニアに武力侵攻するのではないかという噂】です。
ナゴルノカラバフ紛争において“勝利”し、最近久々にカラバフにアゼルバイジャンの国旗を掲げたアゼルバイジャン。
10万人以上のアルメニア系住民はナゴルノカラバフをすでに去り、アルメニア系による実効支配は事実上終わりました。
それで問題は終結するかと思いきや、アゼルバイジャン政府が次々とアルバニア系の自治政府の幹部300人以上を訴追して、
執拗にアルメニア政府を刺激し始めています。
そして、【ナゴルノカラバフ紛争においてロシアが介入しなかったこと】と、
【アルメニアとロシアの関係悪化が決定的になったこと】、
そして【トルコによる確固たる後ろ盾が約束されたこと】を受けて、
まだ懸念・噂のレベルではありますが、アゼルバイジャンがこのままアルメニアに攻撃を仕掛けるのではないかという情報が
入ってきています。
これが本当だとすると、ここでもロシアと欧米諸国を巻き込む大きな紛争に発展することが予想され、
私たちは同時に3つから4つの国際紛争に対処しなくてはならないという、非常に厳しい状況に陥ることとなるため、
非常に懸念しております。
四つ目は【ロシアとウクライナの終わりなき戦いはどうなるか】についてです。
アメリカ政府はイスラエルとウクライナ双方の努力を支え続けると言ってはいるものの、
アメリカ議会ではウクライナ支援のための予算は現在の暫定的な項目には含まれず、
このままでは11月17日には充当された支援用予算は底をつくと言われています。
M39 ATACMS弾道ミサイルを供与し、中長距離の攻撃能力を高めるコミットメントをしていますが、
今後、アメリカ政府と議会がイスラエル対策を優先するのではないかと思われます。
その場合、ウクライナ支援が突如、打ち切られる可能性が出てきます。
欧州各国もイスラエルシフト(ガザ地区の対パレスチナ人人道支援を含める)を強める中、
遅かれ早かれ欧米諸国とその仲間たちが対ウクライナ支援を停止するか、一時停止する可能性が出てきます。
実際にロシアに対する反転攻勢を支えるために欧米諸国とその仲間たちが行う支援は、
もう限界レベルまで来ていると言われており、いわゆる自転車操業的な状況と言われていることに留意しなくてはなりません。
ゼレンスキー大統領はNATO本部を突如訪れ、対ウクライナ支援が先細りすることは、
ウクライナを見捨てることであると警鐘を鳴らしましたが、欧米諸国とその仲間たちからの色よい反応は、
これまでのところ、得られていません。
もし懸念が現実になったら、きっとプーチン大統領はまたほくそ笑むのでしょう。
まさかそのために、ハマスを嗾けたのでしょうか?
【2-国際情勢の裏側】では、主に【イスラエル・ハマス問題と国際社会に対する余波】についてお話ししますが、
他の問題についても引き続き情報収集と分析、そして可能な限りの働きかけを続けたいと思います。
今回のメルマガも長くなりましたが、どうぞ最後までお付き合いくださいね。
それでは今週号、スタートします★
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