中国が力を注ぐ「一帯一路」の第3回国際協力サミットフォーラム(以下、フォーラム)が10月18日、二日間の日程を終えて閉幕した。フォーラムに参加したのは140カ国余りの各国代表だった。
10周年とあってメディアは一斉に特集を組んだが、「一帯一路」報道はやはりメディアの手に余ったようだ。先週、このメルマガで予告した通り、「債務の罠」、「参加国や首脳級の出席者が過去最少」とフォーラムの低調ぶりを熱心に伝えることに終始した。「一帯一路」の全貌が少しでもうかがい知ることのできるものはなかった。
152カ国と32の国際機関が共同建設協力文書に調印し、10年間かけて進められてきた経済圏構想だ。規模から考えてもいくつかの問題点が浮上しても不思議ではない。しかし、10年間という時間のなかで、中国のいう「共建国(共に「一帯一路」を建設する=参加国)」が雪崩を打って構想から抜け落ちてゆく現象も見当たらない。それも一面の真実ではないだろうか。
そもそも「債務の罠」という批判についても根拠は薄弱だ。その詳細は先週書いたが、第一、罠に落ちたとされた当事国から公式なクレームがついてはいない。実際、フォーラムに参加したスリランカのウィクラマシンハ大統領は、習近平国家主席との会談で「スリランカは未来において中国とさらに緊密に協力してゆきたい」とさえ述べているのだ。
中国の進める経済圏構想を「債務の罠」と切り捨てることは簡単だが、それは「一帯一路」を矮小化する問題を孕む。世界から140余の国の代表が一堂に会するスケールは規格外で国際政治の縮図といっても過言ではない。その代表たちとの会合を、中国共産党中央政治局の7人の常務委員と国家副主席の計8人でこなしてゆく迫力は圧倒的であった。
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