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佐々木俊尚の未来地図レポート 2023.10.23 Vol.778
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【今週のコンテンツ】
特集
テクノロジーは社会にとって脅威か福音かという議論が再燃している
〜〜〜「テクノオプティミスト宣言」を読み解く(1)
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
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■特集
テクノロジーは社会にとって脅威か福音かという議論が再燃している
〜〜〜「テクノオプティミスト宣言」を読み解く(1)
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インターネット初期を経験した人ならだれもが知っている往年のウェブブラウザ「ネットスケープ・ナビゲーター」。これを開発したことで知られ、現在はシリコンバレーの最も著名なベンチャーキャピタル「アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)」の共同創業者であるマーク・アンドリーセン。彼の言動はつねに大きな注目を集めますが、先週の10月16日に「テクノオプティミスト宣言」という記事をa16zのブログで発表しました。「テクノロジー楽観主義者」という、かなり物議を醸しそうな内容です。
★テクノオプティミスト宣言(英語)
https://a16z.com/the-techno-optimist-manifesto/
文書は「嘘」と「真実」という、何やら陰謀論的なにおいのする見出しから始まります。「嘘」は次のようなものだとか。
「テクノロジーは私たちの仕事を奪い、賃金を下げ、不平等を拡大し、健康を脅かし、環境を破壊し、社会を劣化させ、子供たちを堕落させ、人間性を損ない、未来を脅かし、すべてを破滅させようとしていると言われる」
そして「私たちは騙されている」と言います。まさに陰謀論的な書き出しですが、「真実」は、テクノロジーこそが文明を推進してきたのだとアンドリーセンは言います。
「私たちの文明はテクノロジーの上に成り立っている。テクノロジーは人間の野心がもたらした栄光と達成であり、進歩の現れであり、ポテンシャルの実現である」
「私たちは、今よりもはるかに優れた生活へと、優れた存在へと進んでいくことができる。そのためのツールもシステムもアイデアも持っている。私たちには意思もある。いま一度、テクノロジーの旗を揚げるべき時に来ているのだ。今こそテクノオプティミストになる時なのだ」
ではアンドリーセンは、テクノオプティミストをどのように定義しているのでしょうか。経済成長こそが重要であると考える人がテクノオプティミストである、と明確に言い放っています。「経済成長は万能ではないが、成長が欠如するのは致命的である」と。成長せず停滞することは、ゼロサム思考に陥り、最終的には内部抗争や劣化につながるものであるというのですね。
「脱成長論」などがまさにそうですが、成長できなければパイは増えず、限られたパイを皆で奪いあうしかないというゼロサム思考に陥りがちであるというのは、本当にその通りだと思います。そしてアンドリーセンは、成長するためには「人口増加」「天然資源」「テクノロジー」のどれかが必要だが、先進国では人口減が進んでおり、天然資源にも限りがある。だから今後も経済成長を力強く牽引していくためには、テクノロジーに頼るしかないのだと指摘します。
「私たちは飢餓の問題を抱えていたので、緑の革命を発明した」
「私たちは暗闇の問題を抱えていたので、電気照明を発明した」
「私たちは寒さに困っていたので、室内暖房を発明した」
「暑さを克服するため、私たちはエアコンを発明した」
「私たちは孤立という問題を抱えていたので、インターネットを発明した」
「私たちはパンデミックの問題を抱えていたので、ワクチンを発明した」
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