「小松成美の伝え方の教科書 ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術」
vol.60「一流に学ぶ、成功のために必要なこととは? 〜奇跡の勝利の裏側〜」
【今週の目次】
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1. 成美のつぶやき
└最近読んだある文学作品
2. 一流に学ぶ、成功のために必要なこととは? 〜奇跡の勝利の裏側〜
└ ラグビーワールドカップフランス大会
└ 五郎丸さんの日本代表でのチャレンジの軌跡(2012〜2015)
└ エディ・ジョーンズヘッドコーチの徹底された管理
└ 体重管理ができていない選手は部屋に帰らされることも!?
└ 絶句した廣瀬俊朗キャプテンの変更
└ 日本代表と引き換えに払った犠牲
└ 日本代表での全てのキックを任された五郎丸選手
└「五郎丸ポーズ」はどのようにして生まれたのか?
└ イングランド大会南アフリカ戦の歴史的勝利
└ 「五郎丸日記」執筆の依頼が届く
└ 海外への挑戦と引退
3. 小松成美の心に残る、あのフレーズ
4. お知らせ
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1. 成美のつぶやき
最近読んだある文学作品
25度以上の夏日も訪れることなく、ようやく秋の深まりを感じるこの頃。しかし、観光地の紅葉のニュースを見ながら、晴れやかな気分にだけ浸ることができません。
ニュースで知ったことですが、2023年10月7日、パレスチナのイスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザからロケット弾や戦闘員の地上と空からの侵入によってイスラエルへ大規模な攻撃を仕掛けました。大量のロケット弾を発射し、ブルドーザーでガザを取り囲む防護壁24カ所を破壊すると、2,000人の戦闘員がイスラエルの軍事施設やパーティ会場、キブツ(農業共同体)などを襲いました。多数の民間人が怪我負い、命を落とします。同時にハマスは、イスラエル市民や外国人観光客など200人以上の人を人質としてガザ地区に連れ去ったのです。
攻撃を受け、人質を取られたイスラエルは即座にこの大規模なテロに反撃を開始し、戦争と位置付けて空爆を続けています。またハマス殲滅(せんめつ)を目的とした地上侵攻作戦を準備中で、この地上戦が行われれば、ガザ地区の市民の命が多数失われることは疑いがありません。
双方の犠牲者は5,000人に及ぶと言われ、空爆の続くガザ地区では電気も水道もガスも止まり、病院も機能しない状況下で逃げ場のない222万人の住民はすでに生命の危機に瀕しています。
ニュースを見て、募金しかできないことに落胆するのですが、考えること、忘れないことに努めています。ロシアの侵攻に遭ったウクライナも同じですが、遠く離れてもそこに私たちと同じ生活があることを思います。
私自身、イスラエルにも、パレスチナにも行ったことがないのですが、あの地で国家国土を巡る戦いが続いている、そのことを少しでも知るために本を読んでいます。
最近読んだ本を皆さんにご紹介します。
『ガザに地下鉄が走る日(みすず書房 2018/11/17出版)』岡真理 著
著者の岡真理さんは、現代アラブ文学、パレスチナ問題、第三世界フェミニズムの研究者。京都大学の名誉教授でこの春からは、早稲田大学・大学院文学研究科中東・イスラーム研究コースでも教鞭を取られています。
本書は、岡さんの体験をもとにエッセイとして綴られているのですが、その内容には震撼させられます。
1948年5月にイスラエルが建国され、パレスチナ人が難民となってからの75年が過ぎていますが、高い分離の壁で閉ざされたパレスチナ・ガザ地区は「現代の強制収容所」と呼ばれています。
パレスチナと関わって45年となる岡さん。彼女は、そこで出会った人々の生き様を描いています。
壁の外への移動の自由はなく、物資の流入は制限され、警告もなくミサイルが撃ち込まれる日常。難民として占領と戦うということは、人間性の破壊だと彼女は怒りと悲しみを文字に込めます。
壁の外の世界と自由に行き交うために「地下鉄」が走ることを夢見るガザの人たち。
日本人が知らない世界とそこに住む人たちを知るための一冊です。イデオロギーや戦争の是非を語るものとしてではなく、文学作品としてお勧めします。
2. 一流に学ぶ、成功のために必要なこととは? 〜奇跡の勝利の裏側〜
ラグビーワールドカップフランス大会
前回のつぶやきでも述べましたが、9月8日から開催されたラグビーワールドカップフランス大会、日本は強豪を相手に善戦したものの、ベスト8まではあと一歩及ばず1次リーグの第4戦でアルゼンチンに27対39で敗れて1次リーグ敗退となり、2大会連続の決勝トーナメント進出は叶いませんでした。
大会後、ジェイミー・ジョセフHCは退任し、今後の指揮は現在選考が進んでいる次期HCに託されます。
今大会で課題となった選手個々のフィジカルはもちろん、選手層、ゲームコントロールの源となる経験値など、勝ちきる力をつけるための課題はいくつもあります。
ワールドカップをエベレストの登頂に例えてきた日本の戦いは、いったん終わりますが、姫野選手は「日本ラグビーはまだまだ強くなれる」と、悔しさのなかで前を向きました。4年後を期待しましょう!
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