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ビジネス知識源プレミアム(水曜刊:660円/月:税込)Vol.1376
<Vol.1376号:正刊:
金利の自由化と、国際的なマネーの移動の自由化>
2023年10月25日:
【理解の鍵になる部分の、要約】
(1)米英は、1980年代後期から、日本は1985年ころから、国際的なマネー(=資本)移動が自由化された。その意味は、外貨を制限なく売買できることである。
金融ビッグ版の前は、各国の金融政策は「閉鎖金融」だった。現代の中国は、人民元の売り(=外貨の買い)に制限がある閉鎖金融である。
(2)当局は、その内容を言わず、宇宙の創生期になぞらえた「金融ビッグバン」、あるいは「マネーとは言わず資本の自由化」とした。
このため、金利の国際平準化の代わりになっている外為売買、つまり資本の国際移動の意味が、一般には、理解されていない(1995年~:金利差で外貨を売買する大手金融機関や証券会社は理解している)。
〔事実では〕金融ビッグバンの1995年以降の28年間、金利がほぼゼロの円は売られ続け、世界の通貨に対する実効レートは、150から60へと40%に下がった。(円、ドル、ユーロ、人民元の実効レート)。
外貨の買いの多さは、国内の円の、海外流出の多さである。
日銀が金利0%でマネー量を増やしても、外貨交換の多さの分、国内金融は、引き締まる。500兆円の円を増刷した異次元緩和ではドル買いの増加を招き、マネー量の多さの結果であるインフレ目標2%を達成できなかった。
(1995年以降のドル買いの多さを示す実効レート)
https://honkawa2.sakura.ne.jp/5072.html
(3)預金を預かる金融機関は、資本の自由化=金利の自由化=金利の世界平準を理解している。預金、貸し付け、運用は、公定歩合とは関係のない自由金利だから。
しかし、銀行に預金を預ける個人には、
・自分の預金が、自分のマネー資本であること、
・そして金利の低い通貨は無限に売って、実効的な金利を国際基準(=米ドルの金利)に上げることができるという認識は薄い。たぶん国民の99.5%にこの認識はない。
(3)金融ビッグバンは、外貨の制限のない売買の意味である。このため「実効金利」は、外為交換という方法で、世界が平準化していく傾向になる。1995年以降、円がとめどなく下がってきたのは円売りの超過のためだが、円が売られたのは、円金利が0%続けたたからである。
(注)実効金利は、ポートフォリオの加重平均の実効金利である。ポートフォリオの運用で、金利5%のドルが40%、0%の円が60%ときは、その金融機関の、通貨のポートフォリオの実効金利は、「5×0.4+0×0.6=2%」になる。この実効金利2%を、世界の標準金利と考えることができる。
しかし中央銀行は、意味を失った「公定歩合」をひきずっている。金融政策が、有効性もつと言いたい。自分の存在と役割を否定されることに、どの組織も抵抗する。日銀否定論は常にある。
公定歩合は、日銀が銀行に短期マネーを貸すときの金利である。金融ビッグバンのあとは、金融機関の運用マネーは、金利が低いと比較金利の高い外貨に逃げるので、その効果が減少した。
◎金融ビッグバンは、外貨交換と金利の理論的な面では、中央銀行の金融政策否定するものだった。
(4)中央銀行は、有効性が激減した公定歩合を「目標金利、または政策金利」と言い換えた。金融ビッグバンでは、政府と日銀は「金利の代わりになる外貨の変動」を覆い隠してきた。
1ドル=150円の円安は、背府+日銀の、ゼロ金利政策の責任であるが、そうはなっていない。ゼロ金利の円から5%金利のドル買いが増え、円安になるのは当然である。
(5)2022年10月からは、インフレのなかでも短期ゼロ金利を続ける円に対して。1ドル=150円という「購買力平価の1/2の円安」になっている。外為市場では、インフレのなかで金利が世界1低い円が、大量に売られている。
円安は、政府・日銀の、金融政策の目標ではない。国際的な円金利の低さを補うため、円預金をもつ金融機関が、金利の高いドルを買っている。つまり外貨の売買が「国際的な金利の平準化」の代わりになっている。
日銀はこの円安のなかで、「金利変動=外貨レートの変動」を意識せざるをえなくなったが、「黒田総裁は、一般に理解ができないことを、もごもご言って動かない」。政府の、国会答弁と同じである。
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