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中国、不動産の次は「EV失速」 バブル崩壊で一蓮托生 習氏に4期目はあるか

勝又壽良の経済時評
  • 2023/10/26
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教条主義が生んだ破綻 中国EVに日本の圧力 急減速下で2つの悲劇 中国最大の産業は、不動産開発関連である。GDPのおよそ30%を占めるとされる。それだけに住宅産業の長期不振が、中国経済へ与える影響は大きい。中国政府は、住宅に次ぐエースとしてEV(電気自動車)の成長に期待を賭ける。だが、国内市場は需要の天井圏にさしかかったので、輸出増加を目指すほかなくなった。 EV輸出の増加となると、貿易摩擦を引き起こし兼ねない。現に、EU(欧州連合)が中国EVのダンピング調査を始める事態になっている。EUは、自動車の母国である。EUにとってはメンツにかけても、中国EVの輸出急増は受け入れがたいとして警戒姿勢をみせる。雇用を奪われるのが理由だ。中国は、EV輸出も頭打ちになれば、国内経済の牽引役を失うことになる。それだけに危機感を深めている。 中国経済は、1979年の改革開放政策から約半世紀を経た現在、大きな岐路に立たされている。習近平国家主席は、この危機を「統制経済手法」で乗切ろうとしている。トウ小平の改革開放政策の否定だ。中国経済が、現在の危機を迎える主因は、改革開放政策にあったのでなく、徹底化しないで不十分な形で進めたことである。市場経済政策が、共産主義思想に反するという教条主義は、改革開放政策をねじ曲げてしまった。 中国共産主義は、縁故主義でもある。新中国を建設した元老の子弟(紅二代・紅三代)を経済面で優遇するという特権を認めてきた。これが、固定資産税(不動産税)や相続税を設けないという「富裕者天国」をつくり出した背景である。その代替が、土地国有制を「悪用」した土地売却益を地方政府の主要財源にする「土地本位制」(学術用語でない)である。これが、不動産バブルを生み出し、これまでの中国経済発展基盤をひっくり返す事態を引き起こした。「急がば回れ」である。経済発展に近道はないのだ。 教条主義が生んだ破綻

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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