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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 200
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、東南アジアのECの状況についてご紹介します。
インドネシアでTikTok Shoppingが禁止になるという事件が起こりました。TikTok ShoppingはショートムービープラットフォームのEC機能で、ムービーに商品タグをつけたり、ライブ配信に商品タグをつけてライブコマースとして物品販売ができる機能です。
日本ではまだサービスインされてなく、欧米ではあまりうまくいっていませんが、東南アジアでは有力なECチャンネルに育ってきています。特にライブコマースが受け入れられていることが大きく、今年の11月11日のビッグセールは大きな飛躍台になるのではないかと期待されていました。
インドネシア政府が禁止をした理由は、中国製品に押されて、国内産業が苦しんでいるという問題です。中国製品を大量に、そして低価格で販売するTikTok Shoppingを禁止することで、消費者に国内製品に目を向けてもらうというものでした。
ところが、消費者たちはLazada(アリババ系)、Shoppee(テンセント系)のECプラットフォームに行き、結局中国製品を買ってしまい、インドネシア製品の売上は増えなかったと報じられています。
バイトダンスは、このインドネシアでの施策が、他の東南アジア各国に飛び火をしないかどうかを心配しています。実際、他国でもTikTok Shoppingの調査や検討に入っています。
コロナ禍が始まると、中国の投資家たちは、すぐに東南アジアへの投資を始めました。これにより、東南アジアの物流、宅配物流、デジタル決済などのECインフラが急速に整い始め、それを使って大量の中国製品が東南アジアに流れるようになっています。東南アジア各国は、中国製品を抑制しないと、国内産業が育たないというところに追い込まれています。
今、東南アジアは急成長をしていて、私たちが知っている「癒しの東南アジア」ではなくなり、熱気あふれる東南アジアになろうとしています。そこで、今回は、東南アジアのSNSとECに関する最新統計を使って、現在の東南アジアのEC状況がどうなっているかをご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 200
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▼目次▼
インドネシアでTikTok Shoppingが禁止。浮かび上がった国内産業vs中国のせめぎ合い
小米物語その119
今週の「中華IT最新事情」
次号以降の予定
Q&Aコーナー
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インドネシアでTikTok Shoppingが禁止。
浮かび上がった国内産業vs中国のせめぎ合い
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今回は、東南アジアのECについてご紹介します。
インドネシアでTikTok Shoppingが禁止になるという事態が発生しました。TikTok Shoppingについては、このメルマガの読者のみなさんには説明不要ですが、ショートムービープラットフォームのTikTokの中で買い物ができる仕組みです。商品を紹介したムービーには商品タグが表示され、タップすることで購入画面が現れ購入することができます。また、ライブ配信でも商品タグを表示することができライブコマースも盛んに行われています。
ライブコマースは中国以外では流行らないと言われていましたが、インドネシアでは定着をしようとしています。現地人の司会を使い、バラエティー番組のようなつくりにすることで、テレビ代わりに楽しむ人が増え、その中で商品を購入します。
また、本家の「抖音」(ドウイン)では、どんなムービーであっても、スキャンボタンを押すことで、ムービー中の商品をAIが認識をし、TikTok Shoppingの中にある類似の商品をリストする機能が搭載され、この機能も順次TikTokにも搭載されていく予定です。芸能人やインフルエンサーが着ている服や持っている小物を検索して購入するという使われ方が始まるかもしれません。
インドネシア政府が禁止をしたねらいは国内製造業、国内小売業の保護です。TikTok Shoppingで販売されているのは、その多くが中国製品です。今や、中国製品は安くて品質がよくなっています。インドネシアは成長を続けていますが、それでも国内製造業は中国企業には品質の点でも価格の点でも太刀打ちができません。
TikTok Shoppingが始まって2年、多くの人がTikTokで日用品を購入するようになり、国内小売業、製造業が苦しめられているというのがその理由です。
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