--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
はじめに
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
政府は、2日の臨時閣議で新たな経済対策を決定。中身は、物価高の家計負担を緩和する所得税と住民税の減税、また減税の恩恵を受けられない非課税の低所得世帯向けを中心とする給付を柱とし、合計5兆円超。
また「デフレからの完全脱却」を掲げ、企業の賃上げや投資の促進策も盛り込み、総額を示す規模は17兆円台前半と見込む(1)。しかしながら、財源の多くを借金となる国債の増発で補い、財政悪化も招く。
今回の手立ては、「増税メガネ」と揶揄され、過去最低の内閣支持率にあえぐ岸田文雄首相が与党内の異論を推しきり、主導した、打開策の一手(2)。しかし、”税”は「時の政権の鬼門」 とされ、政権の浮揚に結び付くかは不透明だ。
「『増税メガネ』などと呼ばれても構わない。どんな呼ばれ方をしても、やるべきだと自分が信じることを決断、実行していく」(3)
2日夕、官邸で記者会見した首相はそう語った。
<自身にまとわりつく「増税イメージ」を払拭する->(4)
側近から、減税か即効性のある給付金支給策かを示された首相が、むしろ「やるべきだ」と減税を選択した。9月25日、首相は、
「税収増を国民に還元する」
と減税を打ち出す。側近らと協議を重ね、10月18日、麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長ら党四役との会合し、所得税減税を伝達した。「慎重な意見を」との声もあったものの、首相は譲らない(黒石規之・高田佳典、2023年11月3日)。
他方で、「増税隠し」「選挙目当て」と批判する野党のみならず、与党内からも防衛増税と矛盾するとの声が。結果、首相は、2024年度の防衛増税見送りを余儀なくされた。
また17兆円まで膨らんだ経済対策は、しかし識者やエコノミストからも疑問の声は上がる。対策の目玉に据えた定額減税も、市場では、
「景気刺激効果は小さい」(民間シンクタンク)(5)
との見方が支配的だ。
(1) 西日本新聞「経済対策 減税・給付5兆円」2023年11月3日付朝刊、1項
(2) 黒石規之・高田佳典「減税ごり押し 首相裏目」西日本新聞、2023年11月3日付朝刊、3項
(3) 黒石規之・高田佳典、2023年11月3日
(4) 黒石規之・高田佳典、2023年11月3日
(5) 井崎圭・金沢皓介「景気浮揚策 未知数」西日本新聞、2023年11月3日付朝刊、3項
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
2028年ロス五輪、追加種目決定 金権体質、再び 「ぼったくり男爵」、インドにすり寄り 任期延長も視野に
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
IOC(国際オリンピック委員会)は16日、インドのムンバイで総会を開き、2028年に米ロサンゼルス五輪の追加競技として、大会組織委員会から提案されていた、野球・ソフトボール、フラッグフットボール、クリケット、ラクロス、スカッシュの5競技を一括承認した。
2021年東京大会で日本がともに金メダルを獲得した野球とソフトボールは、2大会ぶりに復帰したものの、しかし人口規模で中国を抜き世界第一位となったインド市場を狙い、クリケットを強く推したことで、IOCの”金権体質”が再び、露わとなった。
IOCのトーマス・バッハ会長は、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のフラッカ会長が、メジャーリーグのトップ選手の参加にも合意しているとした(1)。
クリケットはインドなど英連邦諸国で人気を博し、五輪では128年ぶりの実施。北米発祥のラクロスは、120年ぶりの復帰となる(2)。
アメリカで熱狂的な人気を誇るアメリカンフットボールから接触プレーをなくしたフラッグフットボール、そしてスカッシュは五輪では初めての実施。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)