■無くせる会社のムダ作業
オフィスワークの業務が、単純化・定型化しづらくなっている。従
来の業務改善では、複雑な業務を単純化し、決められた手順で進め
られるようにパターンに定型化することが、やり方の一つだった。
ここに来て、それが大きく変化している。テクノロジーが進化し、
お客さんや競合他社など働き方が変化した。その結果、ビジネスの
あり方そのものが大きく変化した。
業務は、ますます複雑化・高度化し、より洗練された仕組が求めら
れている。その結果、仕事の量が増え、さらに仕事の質の高さも求
められている。
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ここで、策として練られる代表的な一つが人員の追加だ。だが、遅
れているプロジェクトに人を追加しても、プロジェクトは更に遅延
してしまう。これは「ブルックスの法則」として知られている。
理由は、タスク分解の限界やマネジメントやコミュニケーション
の増加などだ。働く人を数字で捉えて「人を増やせば問題は解決す
る」と考えるのは安易だ。
次に取られる策として、多くの職場では、新しいテクノロジーや
AIを活用して仕事を効率化しようとする。だが、ITソリューシ
ョンを導入するほど仕事が複雑化し、忙しさが増す。
なぜなら、ITソリューションを導入すると、それを使いこなすた
めの手間が増えるからだ。それを無視して、今まで通りのやり方に
こだわると、更に仕事は増えてしまう。
ITソリューションを入れたら、単純化・定型化された仕事はIT
に任せるべきだ。人間は複雑・高度化した仕事に専念するべきだ。
つまり、仕事のやり方そのものを変化させねばならないのだ。
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徒労感が多いにも関わらず、達成感の得られない作業が職場にはた
くさんある。たとえば、できて当たり前だから、感謝されない。そ
れなのに、小さなミスで責められるといった仕事がその典型だ。
いわば、マイナスをゼロにするためだけに存在する仕事だ。やって
もやっても目に見えた成果を感じられない。だから「なんのために
やっているのか」が理解できないのだ。
今まで当たり前にやってきた仕事も、従事する人たちを苦しめる。
単調な作業は、ITソリューションの方が向いているのだ。こうし
た仕事は人間が一生懸命やっても、ITには勝てないのだ。
これまでを否定せず、時代の変化を楽しむことだ。時代が変わった
のだから、役目を終えて働く人たちを苦しめているムダ作業に気づ
き、改善すべきだ。一緒に新時代の業務を作っていくのだ。
★
会社の名刺を交換しても、自分の名刺を交換したことにはならな
い。結局、個人の所有物でなく、組織のものなのだ。それを会社自
体も忘れて個人のやり方に任せきっている。
その結果、社内での情報共有ができなくなってしまう。たとえば、
意図せず、同じお客さんに、同じような提案をしてしまうといった
ムダが発生してしまう。
また、担当者が辞めてしまうことで、相手と接点を失ってしまった
りする。紙の名刺は、整理するのにも膨大な時間もかかる。このム
ダな作業はチャンスさえ逃しかねないのだ。
だから、名刺・顧客管理システムを導入してデータベース化するべ
きだ。名刺データを会社として管理するのだ。そうして社内の人脈
を共有できれば、顧客への戦略が立てられるはずだ。
また、いつでも最新のアプローチリストが作れるようになる。他の
調達部門との取引情報をもとに、同じ製品購入の交渉を優位に進め
ることもできるはずだ。
社内で扱うすべてのデータは、個人の所有物ではない。会社のもの
なのだ。そのことを思い出すべきだ。そうすることでムダを省くこ
とはもちろん、新しい価値創造にもつなげるべきなのだ。
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