第288号(2023年11月10日号)
『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』
はじめに:
いつもメルマガをお読みいただきありがとうございます。
さて、今週号の内容ですが、まず【1】の
『無敵の交渉・コミュニケーション術』のコーナーでは、
今週も【揉め事の解決法】についてお話しします。
先週号では【Mediation (調停)】と【Arbitration (仲裁)】の
長所と短所についてお話しし、Med-Arbの仕組みと、
Arb-Medの仕組みについてお話ししました。
今週号ではMed-ArbとArb-Medに加え、ADR(Alternative Dispute Resolution)についてお話しします。
その注目の内容は、本編をお楽しみに♪
次に【2―国際情勢の裏側】ですが、今週も4つの案件を同時進行的に扱う身としては、
心身ともにとてもつらい1週間となりました。
特に刻一刻と入ってくるガザの惨状の情報に非常に心を痛め、
その解決に何ら役割を果たせていない国際社会に苛立ちと怒りを感じながら過ごしています。
ガザではわかっているだけで1万1000人の生命が奪われ、まだ3000人超の人々の行方が分かっていません。
恐らくイスラエルによる空爆で崩壊した建物の下敷きになっているものと思いますが、
医療物資や生活物資、水、食料、そしてエネルギーが著しく不足する中、捜索活動も遅々として進まないのが現状です。
中にはその捜索活動の最中に爆撃が行われ、さらなる犠牲者が生まれています。
イスラエルの怒りは分かりますが、今回の軍事行動は特に度を越していると考えます。
人質解放交渉と人道支援のための調停努力は、エジプトやカタールの協力を得て進められていますが、
イスラエル・ハマスの間にある深刻な相互不信が、その実現を阻んでいるように思います。
イスラエル・ハマス問題の裏では、ウクライナにおける悲劇は忘れられているように思われます。
アメリカ政府はイスラエルとウクライナの支援を同時進行的に行うと宣言していますが、
実際にはウクライナ向け支援の予算は底をつき、支援再開の見込みは立っていません。
『ロシアとの直接的な対決だけは避けたい』と考えて、
あまりロシアを刺激しすぎない戦略を取った欧米諸国とその仲間たちですが、
予想以上に戦争が長期化する中、次第に対ウクライナ支援から脱落し、欧米諸国とその仲間たちの結束も緩み始めています。
欧州ではスロベニアが対ウクライナ支援から離脱し、ハンガリーも継続を疑問視するなど、危機的状況にありますが、
かといってドイツやフランス、英国がそれを肩代わりできるほど経済的にも軍事的にも、
そして国内政治的にも余裕がありません。
その危険性を察知したのか、欧州委員会はウクライナのEU加盟に向けた議論をスタートするべきとの立場を表明しましたが、
加盟国がどこまでそれに前向きかは不明です。
またイスラエルとハマスの戦いで世論が2分される中、来年、オリンピックを開催するフランスは、
オリンピック期間中のテロを警戒し、国内の治安を急速に高める必要性に駆られていることから、
ウクライナ支援の拡大には事実上、消極的です。
またドイツは、国内政治でのショルツ首相への逆風が強まり、これ以上、
ドイツのリソースをウクライナにつぎ込むべきではなく、
ドイツ人の生活を支えることに使うべきだとの意見が高まっていることと、
売れ筋のレオポルド2戦車がロシア軍によって破壊されていることで、その信頼性に疑問符が付けられる前に、
撤退すべきとの意見も増えてきていることから、ドイツも期待できない状況です。
イスラエルとハマスの戦いの行方が見えない中、人質解放と人道支援の実施に向けた駆け引きが続けられていますが、
その成否によっては、今後、中東地域のみならず、世界全体にとって恐るべき事態が待っているかもしれません。
【2-国際情勢の裏側】では、今週号もどうしてもイスラエルとハマス問題のお話がメインになりそうですが、
可能な限り、バランスの取れたお話をしたいとおもいます。
今回のメルマガも長くなりましたが、どうぞ最後までお付き合いくださいね。
それでは今週号、スタートします★
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