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石川 温の「スマホ業界新聞」
2023/11/11(vol.539)
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《目次》
1.ソフトバンク宮川社長が楽天プラチナバンドに「救いの手」か
----NTT法見直しで、NTT以外の3社が歩み寄り
2. 既存3社が不安視する楽天モバイルのプラチナバンド開設計画
----三木谷会長「544億円で1万局。十分、お釣りが来る」
3.ソフトバンク宮川社長「NTTの話は詭弁だ」と一刀両断
----4社社長で「ニッポンの通信の未来像」について話し合うべき
4.今週のリリース&ニュース
5.編集後記
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1.ソフトバンク宮川社長が楽天プラチナバンドに「救いの手」か
----NTT法見直しで、NTT以外の3社が歩み寄り
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今週、久々に質疑応答で興奮したのがソフトバンクの決算会見だ。
宮川潤一社長に「楽天モバイルにプラチナバンドが割り当てられたが3MHzということでNTTドコモに『貧乏クジ』を引かされた感があるが、宮川社長の感想を教えて欲しい」と聞いたところ、「貧乏クジだとは思わない。プラチナバンドがあるか、ないかは似て非なるものだ」と一蹴。楽天モバイルの開設計画に対して不安視していると話す中で「プラチナバンドのネットワークを構築していく上で、ソフトバンクの基地局の場所が良ければ議論をしても良い」という話の展開になっていったのだった。
「議論」とはどういったことなのか、さらに質問してみると「バックボーン回線を貸す」ということも検討しても良いということであった。
ただ、ソフトバンクが積極的に楽天モバイルにアプローチをかける「ラブコール」ではなく、あくまで「楽天モバイルが求めてくるならば」という雰囲気であり、宮川社長としても、ついつい思いつきの発言だった感がある。
宮川社長の暴走に対して、三木谷浩史会長は「報道でしか聞いていない。具体的にどういう可能性があるのか。今後、ソフトバンクだけではなく、KDDI、ひいてはNTTドコモも含め、協調するところと競争するところ、いろんなかたちでお話していければうれしい」と語っていた。
当然のことながら、三木谷会長の頭のなかに「ソフトバンクの力を借りる」なんてアイデアはなかっただろう。よくよく考えれば、ソフトバンクと楽天モバイルは、ソフトバンクの元社員が基地局の設置場所を記録したデータを持ち出し、楽天モバイルに転職したという件で裁判をしている間柄だ。
ソフトバンクとしては「プラチナバンドの基地局設計を手伝うよ」と楽天モバイルに近づき、実際の基地局展開を見て「ほらやっぱり、ウチらのデータを盗んで活用しているじゃん」と言いたいのかも知れない。
ただ、一方で、とりあえず、裁判の事は忘れ、仮にソフトバンクと楽天モバイルが近づけば、困ってしまうのはKDDIかも知れない。
これまで、ローミング契約に関してはKDDIが圧倒的に有利な立場で交渉が進んできた。楽天モバイルにプラチナバンドが割り当てられたが、KDDIとしてはできるだけローミング契約を引っ張り、長期間に渡ってローミング収入があった方が望ましい。
しかし、楽天モバイルにソフトバンクという新たなパートナーが近づいてくれば、KDDIは交渉条件や工事などで自分たちの思うようには行かなくなってくる。
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