イスラム武装組織ハマスの越境テロ攻撃から1カ月が過ぎた。
パレスチナの人々が暮らすガザ地区へのイスラエル軍の報復攻撃は凄まじく、崩壊した建物の瓦礫をかき分けるパレスチナの人々の映像が連日のように伝えられている。その惨劇は、ロシアによるウクライナ侵攻で見慣れた光景とは、また次元の異なる破壊として人々の目に焼き付けられている。
多くの懸案が世界に山積するなか、今月12日からアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議がサンフランシスコで開催される。注目は、会議に合わせて行われるジョー・バイデン大統領と習近平国家主席の対面による二度目の首脳会談だ。国際政治の一つのハイライトだ。
西側メディアの関心は、例によってイスラエル・パレスチナ問題とロシア・ウクライナ問題をめぐる二大国の駆け引きに向けられている。即ち、中国をいかにロシア批判やハマス批判に引き込めるかというバイデン政権の思惑だ。
だが、中国の優先順位はそうではない。米中首脳会談はあくまでアメリカと中国の「二国間関係を整える場」と考えているからだ。
中国が獲得したいのはトランプ政権下で激増した対中制裁関税の解除や安全保障を理由とした輸出・投資の制限の撤廃である。安全保障面では、台湾問題を利用して中国をけん制する動きを止めさせることだ。
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