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トヨタEVの「全固体電池」 中韓を大きく引離す 自動車産業に新境地開く

勝又壽良の経済時評
  • 2023/11/13
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中国は日本より5年遅れ 特許1・3位トヨタ連合 揺るぎないトヨタ収益力 日本が輸送の未来を左右 トヨタ自動車と出光興産は、10月に全固体電池開発のタイムスケジュールを発表した。27年から全固体電池搭載のEV(電気自動車)が登場する予定だ。全固体電池開発でしのぎを削る海外のライバルからは、「本当か」という懐疑の声も上がっている。それほど難しい技術の壁を乗り越えたのだ。海外からはまた、固定電話が携帯電話に小型化するほどの技術革新と評価されている。 日本は、リチウムイオン電池を世界で初めて商品化した國である。このリチウムイオン電池の次世代型電池に当たる全固体電池で先鞭を切れれば、世界へのさらなる貢献になる。固定電話が、携帯電話に代わったのはリチウムイオン電池の出現による。だが、リチウムイオン電池は、頻繁に給電しなければならない煩わしさも発生している。全固体電池は、こういう点を解決して長時間保たせる。さらに、小型化するというイノベーションを実現する。 日本では、トヨタだけが全固体電池開発に取組んでいるのではない。ホンダや日産も取組んでいる。日本の自動車メーカーが揃ってEVの全固体電池化に成功すれば、日本の産業全体に大きな変革をもたらす。日本の自動車産業が、世界をリードするほかに、全固体電池を利用した地域航空や全自動運転車への活用も広がる。日本経済再生への切り札が一つ増えるのだ。 中国は日本より5年遅れ 中国と韓国の電池業界幹部らは、全固体電池が期待どおりの効果をもたらすかどうかについて、それほど確信を持てないでいる。「CATL(寧徳時代新能源科技)に近い人物によると、同社の研究者らは過去10年間にわたり固体電池の開発に取り組んできた。だが、コスト効率に優れた大量生産システムをいまだに発見できず、CATL社内ではトヨタが本当にそれを特定できたのか疑問視する声もある」。『フィナンシャル・タイム(FT)』(10月17日付)が報じた。 FTは、また次のようにも報じている。 韓国の業界幹部らも同様だ。「『製品を開発するのとそれを商品化するのとは全く異なる』とある幹部は言う。『トヨタは10年(以上)前から全固体電池の大量生産について語ってきたが、実現の時期は何度も先送りされてき』。技術と生産規模の拡大に関する問題を克服できたとしても、妥当な期間内に全固体電池によってEVの製造コストが引き下げられ、EVの世界展開を加速できるのかという大きな疑問の答えは見えないままだ」。

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  • 勝又壽良の経済時評
  • 経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。
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