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【Vol.508】冷泉彰彦のプリンストン通信『Z世代はアメリカを変えるのか?』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「電話嫌いでタイパ好きな新世代には一理ある」  これは日本の場合ですが、新しく社会人になった世代に対する過去世代の 批判がかなり強まっているようです。具体的には、「電話嫌い」と「タイパ 好き」ということです。  まず「電話嫌い」ですが、これは全く当然の話だと思います。今の若い世 代は、固定の地上線電話というのは、ほとんど経験していません。また対面 でも、原則として初対面同士の会話は避けるという社会で育ってきています。 初対面同士の会話というのは、余程注意しないとトラブルの元だし、特に敬 語のレベルなどでエラーを出してしまうと、執拗な言葉の暴力の被害にあう 中では、リスク回避という意味合いもあるわけです。  ですから、例えば部課の代表電話というのがあって、昼休みとか時間外と かに電話番を置いて、新入社員などに電話を取らせるというのは、大きな抵 抗感がある、というのはよく考えれば理解できる話です。  よく考えれば、部課の代表電話などというのは、今どき本当に必要なのか は考え直したほうがいいと思います。民間だろうが官公庁だろうが、そして アドミ的な仕事であろうが、営業であろうが、仕事の基本はメールという時 代です。その上で、どうしても電話でというのは、局面が限られています。 1)初対面だが、即答を期待する場合。 2)面識があるが、非公式なので対話の証拠を残したくない場合、あるいは 言外の微妙なニュアンス的な情報交換をしたい場合。 3)慶弔や祝意など感情的なメッセージをリアルで送りたい場合。 4)番号リストを片手にダメ元で営業などの電話をかけまくる場合。  これ以外にはどうしても電話でというケースはほぼゼロではないかと思い ます。まず2)とか3)は新人がいきなり電話を取るというケースではあり ません。2)については、こうした種類の電話を頻用する人は業務用の携帯 を運用しているか、秘書が通話を管理しているはずです。3)は受け電話で はありません。  ですから、基本的に新人に電話をさせるのは1)か4)の局面です。この うち、1)は理不尽なクレームや大量の電凸などの可能性があるので、現在 では多くの組織が電話を受けない対応に移行しつつあります。または、電話 専門のコールセンターに回す対応が可能です。ですから新人に電話を取らせ るなどというのは時代遅れになると思います。  さらに言えば、コンプラ、特に守秘義務に関して高い情報管理が求められ る場合には、担当者以外による情報共有、隣の部課の電話を取るなどという のは、そうした行動事態がダメと言う時代でもあると思います。また4)の 電話作戦的な行動も、今は効果よりもマイナスイメージが強い時代であり、 意味はドンドン薄れていると思います。  そう考えると、新入社員に「イヤイヤ電話を取らせる」とか「かけさせ る」といった経験をさせるというのは、この際ですから止めてしまってはど うでしょうか。多くの企業がすでに「問い合わせはウェブフォームに」とか、 あるいは「コールセンター回し」という対応をしており、それで社会的に悪 印象になる時代でもないからです。(続く)

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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